太陽光・蓄電池は元が取れない?経済効果と後悔しないための対策を解説!

- 太陽光発電と蓄電池をつけたいけど、高すぎて元が取れないのでは?
- 昔より売電価格が下がっているのに、今から導入して意味があるの?
- 導入して後悔しないか、経済的な効果がどれくらいあるか知りたい
こんな悩みにお答えします。
太陽光発電と蓄電池の導入を考えたとき、本当に元が取れるのか心配になるのは当然です。
ある程度の初期費用はかかりますし、投資した金額を回収するにもそれなりの期間がかかるため、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、条件次第で元を取ることは十分可能です。
この記事では、太陽光・蓄電池の経済効果を徹底解説すべく、以下の内容をお伝えします。
- 太陽光発電と蓄電池で元が取れるかどうかは条件次第!
- なぜ「太陽光・蓄電池は元が取れない」と言われるのか?主な5つの理由
- 太陽光・蓄電池で元を取るための経済効果をシミュレーション
- 後悔しない!太陽光・蓄電池で元を取るために押さえるべき6つのポイント
- 太陽光・蓄電池の導入にかかる初期費用の相場とは?
- 経済的なメリットだけじゃない!太陽光・蓄電池を設置する価値
- 太陽光・蓄電池の導入が特におすすめな家庭の3つの特徴
- 太陽光・蓄電池の導入がおすすめではない家庭の3つの特徴
- 太陽光発電と蓄電池にまつわるよくある質問
この記事を読めば、太陽光と蓄電池を導入する不安が解消され、自分の家庭に合った正しい判断ができるようになります。
ぜひ最後まで読んで、後悔しない選択をするための参考にしてください。
太陽光発電と蓄電池で元が取れるかどうかは条件次第!
結論、太陽光発電と蓄電池を導入して元が取れるかどうかは、設置する家の状況や電気の使い方といったさまざまな条件によって決まります。
そのため、「必ず元が取れる」とも「絶対に元が取れない」とも一概には言えません。
しかし、適切な条件がそろえば、初期費用を回収できる可能性は十分にあります。
重要なのは、自宅の環境やライフスタイルに合った機器を選び、補助金などを賢く活用すること。
どのような条件で経済的なメリットが大きくなるのかを正しく理解し、慎重に検討を進める必要があります。
なぜ「太陽光・蓄電池は元が取れない」と言われるのか?主な5つの理由
太陽光発電や蓄電池は元が取れないという話を耳にすることがありますが、その背景にはいくつかの理由が存在します。
ここでは、なぜそのように言われるのか、主な5つの理由を掘り下げていきます。
- 初期費用が高額で投資回収期間が長く見えるから
- 売電価格の下落で売電収入だけでは回収が難しくなったから
- 太陽光発電のみを設置して蓄電池を導入していないから
- 経年劣化による発電量の低下を想定していないから
- メンテナンスにかかるランニングコストを見込んでいないから
これらは一般的な懸念点であり、導入をためらう原因になりがちですが、それぞれの理由を正しく理解すれば、適切な対策を立てられます。
より現実的な視点で導入を判断できるよう、それぞれくわしく見ていきましょう。
①初期費用が高額で投資回収期間が長く見えるから
ご存知かとは思いますが、太陽光発電と蓄電池の導入にはまとまった初期費用がかかります。
一般的に数百万円単位の高額な投資になるため、家計への負担は小さくありません。
導入後はこの費用を、月々の電気代を削減額することによって少しずつ回収するわけですが、全額を回収し終えるまでには10年以上の長期的な期間が必要になります。
この投資回収期間の長さが、「本当に元が取れるのかわからない」「元を取る前に故障するのではないか」といった不安につながり、結果として「元が取れない」という印象を持たれやすい大きな理由になっています。
②売電価格の下落で売電収入だけでは回収が難しくなったから
太陽光発電でつくった余剰電力を電力会社が一定期間、固定価格で買い取る「FIT制度」があります。
この制度が始まった当初は売電価格が高く、売電収入だけで元を取ることも可能でした。
しかし、FITの買取価格は年々下落しており、現在では電力会社から電気を購入する価格の方が高くなっています。
余剰電力を売るだけでは、かつてのような大きな収入は見込めず、初期費用の回収が難しくなったことが、「元が取れない」という主張の裏付けとなっているのです。
売電収入と購入電力料金の差額が小さくなった今、発電した電気を売るよりも、いかに自家消費して電気の購入量を減らすかが重要になっています。
③太陽光発電のみを設置して蓄電池を導入していないから
太陽光発電のソーラーパネルだけを設置している場合、発電ができるのは日中に限られます。
そのため、発電量が少ない夜間や天候の悪い日には、電力会社から電気を購入しなければなりません。これでは電気代の削減効果が限定的になります。
しかし、蓄電池をセットで導入すれば、昼間に発電して余った電気を蓄電し、夜間に使えるようになります。これにより、電力会社から電気を買う量を大幅に減らせます。
太陽光発電と蓄電池は、セットで導入して初めてその効果を最大限に発揮できるため、片方だけでは元を取るのが難しくなるケースがあります。
④経年劣化による発電量の低下を想定していないから
太陽光パネルは、長期間の使用によって少しずつ劣化し、発電効率が低下していきます。
多くのメーカーでは、20年や25年といった長期の出力保証をしていますが、それでも年間で0.5%前後の性能低下は避けられません。
たとえば、10年後には約5%、20年後には約10%の発電量が減少する可能性があります。
導入時のシミュレーションでこの経年劣化による発電量の変化を考慮していないと、実際の発電量が想定を下回り、「思ったより元が取れない」という結果につながることに。
長期的な視点で収支を計算する際には、5年後、10年後の発電効率の低下も織り込む必要があります。
⑤メンテナンスにかかるランニングコストを見込んでいないから
太陽光発電や蓄電池は、設置して終わりではありません。
長期間にわたって安定した性能を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
たとえば、パワーコンディショナは10年〜15年で交換が必要になる場合が多く、その交換には数十万円のコストがかかります。また、定期点検や清掃にも費用が発生します。
これらの運用にかかるランニングコストを初期のシミュレーションに含めていないと、最終的な収支計算が合わなくなります。
「節約できた電気代」からこれらのコストを差し引いて考える必要があり、見落としていると元が取れない原因の一つになってしまうのです。
太陽光・蓄電池で元を取るための経済効果をシミュレーション
太陽光発電と蓄電池の導入を考えるえで、やはり重要視したいのが「どれくらい経済的な効果があるか」ではないでしょうか。
大切なのは、実際に自分の家で導入した場合、どれくらいの期間で元が取れるのかを具体的なシミュレーションで確かめること。
シミュレーションを行えば、漠然とした不安を解消し、より現実的な判断ができるからです。
以下では、元を取るための計算方法や、具体的なモデルケースをもとに、どれくらいの経済効果が期待できるのかをチェックしていきましょう。

「元を取る」とは初期費用を節約できた電気代で回収すること
「元を取る」という言葉は、導入時に支払った初期費用を、その後の経済的なメリットで取り戻すことを意味します。
具体的には、太陽光発電と蓄電池を設置したことによって節約できた電気代と、余った電気を売って得た売電収入の合計額で、初期費用を回収するということです。
計算式で表すと、『初期費用÷年間の経済メリット(電気代削減額+売電収入)=投資回収年数』となります。
たとえば、初期費用が200万円で、年間の経済メリットが20万円なら、回収期間は10年です。
この年数が短いほど、経済的なメリットが大きいと判断できます。
【ケース別】投資回収期間の目安を比較
実のところ、太陽光発電と蓄電池の投資回収期間は、導入する機器の組み合わせやタイミングによって大きく異なります。
たとえば、太陽光発電だけを設置した場合、蓄電池を後から追加した場合、新築時に両方をセットで導入した場合など、それぞれのケースで初期費用や得られるメリットが変わってくるためです。
ここでは、いくつかの代表的なケースを想定し、それぞれの投資回収期間がどのようになるのかを比較します。
自分の状況に最も近いケースを参考にし、より具体的なイメージを掴んでみてくださいね。
太陽光発電と蓄電池をセットで導入した場合の回収シミュレーション
ここでは、太陽光パネルと家庭用蓄電池を同時に設置した場合のシミュレーションを行います。
【条件】
- 太陽光パネル容量:5kW
- 蓄電池容量:6kWh
- 初期費用合計:250万円
- 年間発電量:5,500kWh
- 年間電力消費量:6,000kWh
- 電気料金単価:35円/kWh
- 売電単価:15円/kWh
この条件で、発電した電気の60%(3,300kWh)を自家消費し、残りの40%(2,200kWh)を売電したとします。
年間の経済メリットは「自家消費による電気代削減額(3,300kWh×35円)+売電収入(2,200kWh×15円)」で計算できます。
この場合、年間の経済メリットは148,500円(115,500円+33,000円)となります。したがって、投資回収期間は「250万円÷148,500円」で約16.8年という計算になります。
なお、上記のケースで発電した電気の70%を自家消費し、残りの30%を売電した場合の年間の経済メリットは159,500円となり、さらに投資回収期間は短くなる試算です。
これはあくまで一例であり、各家庭の電力消費パターンや機器の性能によって結果は変動します。
卒FIT後に蓄電池を後付けした場合の回収シミュレーション
すでに太陽光発電を設置しており、10年間のFIT期間が終了(卒FIT)した家庭が、蓄電池を後付けするケースを考えます。
【条件】
- 蓄電池の追加費用:150万円(6kWh)
- 卒FIT後の売電単価:8円/kWh
- 電気料金単価:35円/kWh
- 年間の余剰電力量:2,500kWh
卒FIT後は売電単価が大幅に下がるため、余剰電力を売るよりも自家消費する方がお得です。
そこで上記のケースでは、蓄電池を導入し、年間の余剰電力2,500kWhをすべて自家消費に回せたと仮定します。
その場合の経済メリットは「自家消費による電気代削減額(2,500kWh×35円)−売らなかった場合の売電収入(2,500kWh×8円)」で計算します。
すると、年間の経済メリットは67,500円(87,500円-20,000円)となり、この場合の投資回収期間は「150万円÷67,500円」で約22.2年という計算になります。
なお、充電効率や放電効率も考慮すると、期間はさらに変動します。
後悔しない!太陽光・蓄電池で元を取るために押さえるべき6つのポイント
太陽光発電と蓄電池の導入で後悔しないためには、計画段階で以下の6つのポイントを押さえておきましょう。
- 自宅の電気使用量に合った最適な容量の機器を選ぶ
- 家を建設する時に導入する
- 国や自治体が実施する補助金制度を最大限に活用する
- 売電よりも自家消費を優先して電気の購入量を減らす
- 複数の専門業者から見積もりを取り価格と内容を比較する
- 定期的なメンテナンスで発電効率の低下を防ぐ
なぜなら、ただ単に機器を設置するだけでは、期待した経済効果が得られない可能性があるからです。
太陽光・蓄電池を道入する際に後悔しないためには、賢く元を取るための具体的な方法を知ることが重要です。
それぞれのポイントについて、深掘りして解説していきます。
①自宅の電気使用量に合った最適な容量の機器を選ぶ
元を取るためには、自宅の電気使用量に合った適切な容量の太陽光パネルと蓄電池を選ぶことが欠かせません。
たとえば、日中の電気使用量が少ないのに大容量の太陽光パネルを設置しても、余った電力を安い価格で売るだけになってしまい非効率です。
逆に、夜間の使用量が多いのに蓄電池の容量が小さいと、すぐに電気がなくなり電力会社から購入する必要があります。
一般的に、太陽光発電の容量は4kW〜5kW、蓄電池は5kWh〜10kWh程度が家庭用として選ばれますが、最適な容量は各家庭のライフスタイルによって異なります。
ですので、前もって電力会社の検針票などで毎月の電気使用量を把握するなど、専門業者に相談してシミュレーションを行うことが大切です。
②家を建設する時に導入する
戸建て住宅を新しく建てるときに太陽光発電と蓄電池を同時に導入すると、多くのメリットがあります。
その中でも最大のメリットは、設置費用を住宅ローンに組み込める点です。これにより、初期費用の現金負担を大幅に軽減でき、月々の返済額として計画的に支払えます。
また、建設段階から太陽光発電と蓄電池の導入を計画することで、屋根の形状を太陽光パネルの設置に最適化したり、配線をきれいに隠したりするなど、設計の自由度が高まるメリットも。
後付けする場合にかかる足場の設置費用も不要になるため、トータルコストも抑えられます。
初期負担が軽くなる分、元を取るまでの期間も短縮できるため、新築は導入の絶好のタイミングと言えます。まずは専門業者に見積もりを依頼し、相談してみましょう。
③国や自治体が実施する補助金制度を最大限に活用する
太陽光発電や蓄電池の導入には、国や地方自治体が提供する補助金制度を活用できます。
これらの補助金を活用できれば、初期費用を数十万円単位で抑えるられるため、投資回収期間を大幅に短縮できます。
たとえば、2025年度に引き続き、2026年以降も国による補助事業が継続される可能性があります。また、都道府県や市区町村が独自に設けている制度も多数存在します。
さらに、国は2030年までに温室効果ガスを46%削減することに向け、 2026〜2028年にかけて補助金を最大化する可能性が高いという見方もあります。
これらの制度をフル活用すべく、以下のような情報について、お住まいの地域の最新情報を必ず確認しましょう。
- 補助金
- 適用条件
- 金額
- 申請期間
業者によっては補助金申請のサポートをしてくれる場合もあります。利用できる制度は最大限に活用し、賢く導入することが重要です。
④売電よりも自家消費を優先して電気の購入量を減らす
現在の電力事情では、電力会社から電気を購入するときの料金単価が、発電した電気を売るときの売電単価を上回っています。
そのため、発電した電気は売電するよりも、できるだけ自宅で消費(自家消費)する方が経済的なメリットは大きくなります。
たとえば、蓄電池を活用して日中に発電した電気を夜間や朝方に使うことで、電力会社からの電気購入量を最小限に抑えるのが賢い使い方です。
これからの太陽光発電は、「売る」から「賢く使う」への転換がますます重要になるでしょう。
⑤複数の専門業者から見積もりを取り価格と内容を比較する
太陽光発電や蓄電池を導入するときは、必ず複数の専門業者から見積もりを取りましょう。
なぜかと言うと、同じような容量のシステムでも、施工会社によって提案される機器のメーカーや価格、工事の内容が異なるからです。
1社だけの見積もりでは、その価格が適正かどうかを判断できません。複数の見積もりを比較することで、自宅の屋根の場所や形状に最適な提案を見つけやすくなり、価格交渉の材料にもなります。
また、価格の安さだけでなく、以下のような点も含めて総合的に比較検討することが、長期的に安心して使い続けるための重要なポイントです。
- 施工実績
- 保証内容
- アフターサービスの充実度
信頼できる会社を見つけるために、相見積もりは不可欠な手順です。
⑥定期的なメンテナンスで発電効率の低下を防ぐ
太陽光パネルや蓄電池は設置後のメンテナンスも重要です。
たとえば、パネル表面に鳥のフンや落ち葉、砂埃などが溜まると、太陽光が遮られて発電効率が低下してしまいます。また、パワーコンディショナなどの機器に不具合が発生すると、発電量そのものが大幅に落ちる可能性があります。
発電効率の低下を防ぎ、長期にわたって安定した発電量を維持するには、定期的に専門業者による点検や清掃が欠かせません。
メンテナンスには費用がかかりますが、本来得られるはずの経済的メリットを損なわないための必要経費と考えましょう。
太陽光・蓄電池の導入にかかる初期費用の相場とは?
太陽光発電と蓄電池の導入を具体的に検討するにあたり、必ず把握しておきたいのが初期費用ですよね。
実際にどれくらいの金額がかかるのか、その相場を知ることで、予算計画や資金の準備を進めやすくなります。
初期費用は主に、太陽光パネル関連の設備と家庭用蓄電池の2つに分けられます。
ここでは、それぞれの設置にかかる費用の内訳と、おおよその相場について解説します。

太陽光パネルの設置にかかる費用
太陽光パネルの設置費用は、システム一式を導入する場合、1kWあたり約25万円〜30万円が相場です。
この費用には、太陽光パネル本体のほか、発電した電気を家庭で使えるように変換するパワーコンディショナ、パネルを屋根に固定する架台、そして設置工事費などが含まれます。
一般的な家庭で設置されることが多い4kW〜5kWの容量で計算すると、総額はおおよそ100万円〜150万円程度となります。設置にかかる費用、屋根の形状や材質、設置するパネルのメーカーや性能によって変動します。
なお、最近では価格が下がる傾向にあり、1kWあたり20万円を切る設備も出てきています。
家庭用蓄電池の設置にかかる費用
家庭用蓄電池の設置費用は、本体価格と工事費を合わせて、1kWhあたり約15万円〜25万円が相場とされています。
太陽光パネルと同じく、設置にかかる費用は蓄電池の容量や性能、機能によって大きく異なります。
たとえば、一般的な家庭で人気の5kWh〜7kWh程度の容量の蓄電池を導入する場合、総額で75万円〜175万円程度かかります。
大容量になったり、全負荷型(停電時に家中の電気が使えるタイプ)を選んだりすると、価格はさらに高くなります。
太陽光発電と同時に設置すれば、工事費をまとめられる場合もありますので、セットでの導入もおすすめです。
経済的なメリットだけじゃない!太陽光・蓄電池を設置する価値
太陽光発電と蓄電池の導入を検討する際、どうしても「元が取れるか」という経済的なメリットに目が行きがちです。
しかし、これらの設備がもたらす価値は、お金に換算できるものだけではありません。
日々の暮らしにおける安心感や、社会情勢の変化に対応できる強さなど、数字には表れにくい重要なメリットにも目を向けることが大切です。
ここでは、経済性以外の側面から見た太陽光・蓄電池の価値について解説します。
災害による停電時でも電気が使える安心感が得られる
日本は地震や台風などの自然災害が多く、いつ大規模な停電が発生するかわかりません。
そのような非常時において、太陽光発電と蓄電池は非常に心強い存在となります。
具体的には、日中に発電した電気を蓄電池に貯めておくことで、夜間に停電しても照明やスマートフォンの充電、冷蔵庫などの最低限必要な電力を確保できます。
テレビやインターネットから情報を得たり、家族と連絡を取り合ったりすることも可能です。
この「いざという時にも電気が使える」という安心感は、お金には代えがたい大きな価値と言えます。防災意識の高い現代において、自宅が避難所のような役割を果たす環境を整えられます。
電気代高騰の影響を受けにくい家計を実現できる
近年、世界情勢の影響で燃料価格が変動し、電気料金は高騰する傾向にあります。
毎月の電気代の請求額を見て、家計への負担の大きさを実感している人も多いのではないでしょうか。
そこで、太陽光発電と蓄電池を導入し、電気の自給自足率を高めることで、こうした外部要因による電気料金の上昇リスクを大幅に軽減できます。
なぜなら、電力会社から購入する電気の量を減らせるため、電気料金単価がどれだけ上がっても家計への影響を最小限に抑えられるからです。
日中の発電量や蓄電池の活用次第では、月々の電気代が0円に近くなることも夢ではありません。社会の動向に左右されにくい、安定した家計を実現できる点は大きな価値です。
太陽光・蓄電池の導入が特におすすめな家庭の3つの特徴
太陽光発電と蓄電池は、すべての家庭で同じようにメリットがあるわけではありません。
というのも、ライフスタイルや家の状況によって、その効果の大きさは変わってくるからです。
ここでは、どのような家庭が導入に向いているのか、具体的な3つの特徴を解説します。
- 日中の在宅時間が長く電気を多く使う
- オール電化住宅や電気自動車を持っている
- 防災意識が高く非常時の電源を確保したい
もしご自身の家庭が当てはまるなら、導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
①日中の在宅時間が長く電気を多く使う
テレワークで自宅勤務している方や、小さなお子様がいるご家庭など、日中の在宅時間が長い家庭は太陽光発電のメリットを最大限に活かせます。
なぜなら、太陽光パネルが発電する日中の時間帯に、エアコンやパソコン、調理家電などで多くの電気をそのまま使用できるためです。
発電した電気をすぐに使う「自家消費」は、売電するよりも経済的なメリットが大きいため、電気代の削減効果を実感しやすくなります。
電力会社から電気を買う量が減ることは、効率的に元を取ることにつながります。
②オール電化住宅や電気自動車を持っている
オール電化住宅は、給湯や調理など家庭内のエネルギーをすべて電気でまかなうため、一般的な家庭よりも電力使用量が多くなります。
そのため、太陽光発電による電気代削減効果が非常に大きくなります。
また、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を所有している家庭にもおすすめです。
太陽光で発電した電気を利用して自宅で充電すれば、ガソリン代も電気代もかからないためです。
電気代と燃料費の両方を大幅に節約できるため、導入効果が非常に高いと言えます。
③防災意識が高く非常時の電源を確保したい
地震や台風などの自然災害が多い日本では、防災への備えが重要です。
太陽光発電と蓄電池を設置していれば、災害によって停電が発生したときも、非常用電源として電気を使い続けられます。
これにより、冷蔵庫で食料を保存したり、スマートフォンで情報を収集したり、夜間に照明をつけたりすることが可能です。
経済的なメリットだけでなく、「万が一の時の安心」という価値を重視する家庭にとって、太陽光・蓄電池は非常に心強い備えとなります。
一般的なポータブル電源よりも大容量で、天気が良ければ繰り返し充電できる点も大きな強みです。
太陽光・蓄電池の導入がおすすめではない家庭の3つの特徴
太陽光発電と蓄電池は多くのメリットがありますが、すべての家庭にとって最適な選択とは限りません。
家の状況やライフスタイルによっては、導入しても期待した効果が得られず、かえって負担になってしまうケースも。
ここでは、導入を慎重に検討した方が良い、あるいは現時点ではおすすめできない家庭の3つの特徴について解説します。
- 電気代が高くない
- 初期費用を捻出しにくい
- 住まいが太陽光発電の効率が良くないエリアにある
ご自身の家庭がこれらの特徴に当てはまる場合は、導入を急がず、条件が改善されるのを待つなどの判断も必要です。
①電気代が高くない
太陽光発電・蓄電池の主な経済的メリットは、電力会社から買う電気を減らすことによる電気代の削減です。
そのため、もともとの電気使用量が少なく、毎月の電気代が高くない家庭の場合、削減できる金額も当然小さくなります。
たとえば、一人暮らしや共働きで日中はほとんど家にいない家庭などでは、高額な初期費用を回収するのに非常に長い年月がかかるか、元が取れない可能性があります。
まずは過去1年間の電気の検針票を確認し、どれくらいの削減メリットが見込めるかを冷静に判断することが大切です。
②初期費用を捻出しにくい
太陽光発電と蓄電池の導入には、数百万円単位の初期費用が必要です。
ソーラーローンなどを利用する方法もありますが、それでも月々の返済は家計への負担となります。補助金を活用しても、ある程度の自己資金は必要になることがほとんどです。
現在、貯蓄に余裕がなく、初期費用を捻出するのが難しい状況で無理に導入を進めてしまうと、家計を圧迫し、生活が苦しくなる可能性があります。
まずはしっかりと資金計画を立て、家計に無理のない範囲で導入を検討することが重要です。急いで決断せず、タイミングを見計らうことも賢明な選択です。
③住まいが太陽光発電の効率が良くないエリアにある
太陽光発電はその名の通り太陽の光を利用して発電するため、日照条件が発電効率を大きく左右します。
年間を通じて日照時間が短い地域や、冬場に多くの雪が積もる豪雪地帯では、期待通りの発電量を得られない可能性があります。
また、家の屋根が北向きであったり、周囲に高い建物や山があって日中に影ができやすかったりする場合も、発電効率は著しく低下します。
こうした立地条件では、十分な発電量が見込めないため、投資回収が非常に困難になります。
あらかじめ専門業者に依頼して、自宅の発電量を正確にシミュレーションしてもらうことが不可欠です。
太陽光発電と蓄電池にまつわるよくある質問
太陽光発電と蓄電池の導入を検討する中で、さまざまな疑問が浮かんでくるかと思います。
特に、機器の寿命や耐用年数、さらにお得に活用する方法など、具体的で実践的な情報こそ判断材料として非常に重要です。
ここでは、多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式でわかりやすく解説していきます。
これらの回答を参考に、導入に関する不安や疑問を解消していきましょう。
太陽光発電システムの寿命・耐用年数はどれくらい?
太陽光発電システムの寿命は、機器によって異なります。
中心となる太陽光パネルは、可動部分が少なく非常に壊れにくいため、一般的に20年〜30年以上の長期間にわたって使用可できます。多くのメーカーが25年間の出力保証を付けていることからも、その耐久性の高さがわかります。
一方で、発電した電気を家庭で使えるように変換するパワーコンディショナは、電子部品で構成されているため、寿命は10年〜15年が目安です。そのため、システムの運用期間中に一度は交換が必要になる可能性が高いと考えておきましょう。
なお、太陽光パネルとパワーコンディショナーの税法上の法定耐用年数は17年と定められています。
蓄電池の寿命・耐用年数はどれくらい?
家庭用蓄電池の寿命は、一般的に「サイクル数」という指標で表されます。
サイクル数とは、蓄電池を完全に充電し、すべて放電するまでを1サイクルとして、それを何回繰り返せるかを示すものです。
多くの製品で6,000〜12,000サイクル程度の寿命が設定されており、1日に1回の充放電を行うと仮定すると、年数にして約15年〜30年以上使用できる計算になります。
ただし、蓄電池は使用するにつれて少しずつ蓄電できる容量が減っていくため、メーカーは「10年後も容量の〇〇%を維持」といった形で保証を設けていることが多いです。
使い方や設置環境によっても寿命は変わる点にご留意ください。
太陽光発電と蓄電池でさらに得する方法はある?
太陽光発電と蓄電池の組み合わせに加えて、家庭用燃料電池『エネファーム』を導入することで、さらにエネルギーを効率良く活用できる可能性があります。
エネファームは都市ガスやLPガスから電気とお湯を同時につくり出すシステムです。太陽光発電が天候に左右されるのに対し、エネファームは天候に関係なく24時間発電できる強みがあります。
この2つを組み合わせることで、発電量が不安定な時間帯を補い合い、電気の自給率をさらに高められます。
太陽光、蓄電池、そして創エネ機器であるエネファームを組み合わせることで、より高度なエネルギーの自家消費が実現できるため、あわせて検討してみるのも一つの方法です。
まとめ
今回は、「太陽光・蓄電池は元が取れない」という疑問について、その理由や経済効果、後悔しないためのポイントなどを解説しました。
結論、太陽光・蓄電池で元が取れるかは、家庭の電力使用量や設置条件によって変わります。
太陽光と蓄電池の組み合わせで「元が取れない」と言われる背景には、以下の理由があるからです。
- 初期費用が高額で投資回収期間が長く見えるから
- 売電価格の下落で売電収入だけでは回収が難しくなったから
- 太陽光発電のみを設置して蓄電池を導入していないから
- 経年劣化による発電量の低下を想定していないから
- メンテナンスにかかるランニングコストを見込んでいないから
そのため、太陽光と蓄電池を導入して元を取るには、以下の6つのポイントが非常に重要です。
- 自宅の電気使用量に合った最適な容量の機器を選ぶ
- 家を建設する時に導入する
- 国や自治体が実施する補助金制度を最大限に活用する
- 売電よりも自家消費を優先して電気の購入量を減らす
- 複数の専門業者から見積もりを取り価格と内容を比較する
- 定期的なメンテナンスで発電効率の低下を防ぐ
太陽光と蓄電池の導入は、経済的なメリットだけでなく、災害時の非常用電源としての価値が大きい点も見逃せません。
この記事で紹介したポイントを一つひとつ確認し、自分の家庭に合った計画を立てることで、経済的な負担を軽減しつつ、長期的なメリットを享受できる可能性は十分にあります。
まずは、複数の専門業者に相談し、自宅の条件に合わせた詳細なシミュレーションを依頼することから始めてみましょう。



