設置の前に確認必須!太陽光発電の近隣トラブル6選と潜在トラブル10選

  • 太陽光発電を設置したいけど、近所の人と揉めたくない
  • 実際にどんな近隣トラブル事例があるのか具体的に知りたい
  • トラブルを未然に防ぐためのポイントや解決策が知りたい

こんな悩みにお答えします。

太陽光発電の設置を検討するとき、多くの方が近隣への影響を心配されます。費用も時間もかけて太陽光発電を設置したところで、近隣から苦情が入るのは勘弁してほしいですよね…

安心して太陽光発電を導入するためには、起こりうるトラブルを事前に把握し、正しく対処することが重要です。

この記事では、太陽光発電の設置で起こりやすい近隣トラブル事例から隠れたトラブル事例、その解決策までをくわしく解説します。

具体的な内容は、以下のとおりです。

  • 設置の前に確認必須!太陽光発電の近隣トラブル6選
  • 【近隣トラブル以外】太陽光発電が抱える潜在トラブル10選
  • 太陽光発電の近隣トラブルを未然に防ぐための6つのポイント
  • 万が一近隣トラブルが発生してしまった場合の相談窓口

この記事を読めば、近隣トラブルを上手に防ぐためのポイントがわかり、安心して太陽光発電の設置準備を進められます。

これから太陽光発電の設置を考えている方は、ぜひ最後まで確認しておきましょう。

目次

設置の前に確認必須!太陽光発電の近隣トラブル6選

太陽光発電の設置が原因で発生する近隣トラブルには、いくつかの典型的な事例があります。

その最たる例が、下記の6つです。

  1. 太陽光パネルの反射光による近隣トラブル
  2. パワーコンディショナーの騒音による近隣トラブル
  3. 屋根からの落雪による近隣トラブル
  4. 太陽光パネルの設置により景観を損なう近隣トラブル
  5. 隣地の樹木や建物による近隣のトラブル
  6. 隣地の植物や動物による近隣トラブル

こうしたトラブルは、一度発生すると解決が難しくなるケースも少なくありません。

太陽光発電所を設置する前に、どのようなリスクや可能性が潜んでいるのか、具体的なトラブル事例を把握しておくことが、円満な近隣関係を維持するうえで重要な部分となります。

それぞれくわしく見ていきましょう。

①太陽光パネルの反射光による近隣トラブル

太陽光パネルによる光の反射は、近隣トラブルの代表的な原因の一つです。

ソーラーパネルは太陽の光を吸収しやすいように作られていますが、一部の光は反射します。この反射光が隣接する住宅の窓から室内に入り込み、「部屋が眩しい」「室温が上がってしまった」といったクレームにつながることがあります。

特に、太陽の角度が低い冬場や、パネルの設置角度によっては、周囲への影響が大きくなる傾向が見られます。

トラブルを未然に防ぐためには、設置前に専門業者によるシミュレーションを行い、反射光が近隣の民家へどのような影響を与えるかを確認しておくことが重要です。

②パワーコンディショナーの騒音による近隣トラブル

太陽光発電システムの一部であるパワーコンディショナーは、稼働中に「モスキート音」と呼ばれる高周波音を発生させます。

この音は、人によってはほとんど気になりませんが、不快に感じる人もいるため騒音トラブルの原因となります。若い人ほど影響力が高まり、頭痛やめまいを引き起こす傾向があります。

特に、住宅が密集している地域や隣家との距離が近い場合、寝室の近くに設置してしまうと、睡眠を妨げるなどの生活への影響が懸念されます。

パワーコンディショナーの設置場所を検討するときは、隣家の窓や換気扇から距離を置くなど、近隣の生活環境に配慮した配置を心掛ける必要があります。

③屋根からの落雪による近隣トラブル

雪が多く降る地域では、屋根に設置した太陽光パネルからの落雪が近隣トラブルの原因になることがあります。

なぜなら、この落雪が隣の家のカーポートを破損させたり、通行人に被害を与えたりする可能性があるからです。

パネルの表面はガラスでできており滑りやすいため、屋根に積もった雪が一度にまとまって滑り落ちやすい性質を持っています。

こうした自然現象に起因するトラブルを防ぐためには、雪止め金具の設置や、雪下ろしなどの対策が欠かせません。定期的なメンテナンスを怠らず、積雪状況を常に気にかけることが求められます。

④太陽光パネルの設置により景観を損なう近隣トラブル

太陽光発電の普及に伴い、周辺の景観との調和もトラブルの要因となり得ます。

実際に、屋根一面に設置されたパネルが「街並みの雰囲気を壊している」「威圧感がある」といった主観的な理由で、近隣住民から不満の声が上がった事例があるからです。

特に、景観条例が定められている地域では、パネルの色や設置方法に制限が設けられている場合もあり、注意が必要です。

設置前には、自治体の条例を確認するとともに、周辺の住宅とのバランスを考慮した計画を立てることが、無用なトラブルを避けるうえで賢明な判断といえます。

⑤隣地の樹木や建物による近隣のトラブル

太陽光パネルを設置した後に、隣地に高い建物が建ったり、隣家の樹木が成長したりして日当たりが悪くなるというトラブルも考えられます。

日照が遮られると太陽光パネルの発電効率が著しく低下するため、設置者としては大きな問題です。

しかし、隣地の所有者に対して、日照権を強く主張して木の伐採や建築計画の変更を求めることは法的に難しいのが実情。

このようなトラブルに発展させないためにも、設置前に周辺の土地の利用計画を確認したり、将来的な環境の変化をある程度予測したりすることが大切になります。また、近隣住民との良好な関係を保つことも重要です。

⑥隣地の植物や動物による近隣トラブル

近隣住民が管理する植物や飼っているペットが、太陽光発電設備に被害を及ぼすケースも報告されています。

過去の事例では、隣地から伸びてきたツタ植物が太陽光パネルに絡みつき、回線がショートしてしまったというケースも。

また、近隣で飼われているペットや、家庭菜園に寄ってくる動物がパネルを傷つける可能性もゼロではありません。

こうしたトラブルは、太陽光を受けて発電するパネルの不具合と、動物や植物の因果関係を証明するのが難しく、住民同士の揉め事に発展しやすい傾向があります。

【近隣トラブル以外】太陽光発電が抱える潜在トラブル10選

実のところ、太陽光発電にまつわるトラブルは、近隣関係だけに限りません。

むしろ、設置を依頼する業者との間で発生する問題や、予測が難しい自然災害、そして太陽光発電システム自体の故障など、潜在的なトラブルは多岐にわたります。

特に、施工業者との金銭面や工事の質に関するトラブルは少なくありません。

安心して太陽の恵みを発電に活かすためには、これらのリスクについても事前に理解を深めておきましょう。

施工業者が招く3つのトラブル

太陽光発電の設置を依頼した施工業者が原因で起こるトラブルには、主に3つのパターンがあります。

  • ①工事の不備による雨漏りトラブル
  • ②補助金を受けられないトラブル
  • ③悪徳業者によるトラブル

特に、近年は増加傾向にある悪徳業者については、くれぐれも気をつけましょう。

①工事の不備による雨漏りトラブル

太陽光パネルを屋根に設置する際、架台を固定するために屋根に穴を開ける工事が必要です。この工程で施工に不備があると、雨漏りの直接的な原因となります。

たとえば、防水処理が不十分であったり、屋根材の特性を理解しないまま工事を進めたりすると、数年後に雨漏りが発生する可能性があります。

一度雨漏りが始まると、原因の特定や修理に多額の費用がかかることも少なくありません。

こうしたトラブルを避けるためには、屋根工事に関する知識と経験が豊富な施工業者を、慎重に選ぶことが最も重要です。

②補助金を受けられないトラブル

太陽光パネルの設置には、国や自治体から補助金が支給される場合がありますが、「補助金が受けられると業者から聞いていたのに、実際には支給されなかった…」というトラブルが発生しています。

この原因の多くは、業者の申請忘れや手続きの不備によるものです。

また、施工が完了してから補助金の対象外であることが判明するケースもあります。

経験や実績が少ない業者の場合、こうしたトラブルに発展するリスクが高まります。

補助金制度は複雑なため、業者からの説明を鵜呑みにせず、自分自身でも自治体の窓口に確認しておくことが大切です。

③悪徳業者によるトラブル

残念ながら、太陽光発電の業界には悪徳業者も存在します。

たとえば、「今契約すれば大幅に割引します」と契約を急がせたり、相場よりもはるかに高額な見積もりを提示したりする手口が典型的です。

また、性能の低いパネルを高く売りつけたり、不要なオプション工事を勧めたりするケースも。

特に突然訪問してくる業者には注意が必要です。

トラブルを避けるためには、その場で契約を決めず、複数の業者から見積もりを取り、サービス内容や費用を冷静に比較検討することが不可欠です。

自然災害による4つのトラブル

どれだけ丁寧に太陽光パネルを設置しても、自然災害のリスクを完全になくすことはできません。

以下のような自然現象によるトラブルは、太陽光発電システムに深刻なダメージを与える可能性があります。

  • ④台風・強風によるトラブル
  • ⑤地震によるトラブル
  • ⑥土砂崩れによるトラブル
  • ⑦落雷によるトラブル

上記のトラブルは、メーカーの製品保証の対象外となるケースがほとんどです。

そのため、万が一の事態に備えて、火災保険の補償範囲を確認したり、動産総合保険に加入したりといった対策を講じておくことが重要になります。

④台風・強風によるトラブル

強風や豪雨を伴う台風は、太陽光発電システムにとって大きな脅威です。

非常に強い風によって、屋根に設置した太陽光パネルが飛ばされてしまう事例があります。

飛散したパネルは近隣の民家の屋根や車を破損させたり、通行人に当たって怪我をさせてしまったりする可能性があり、その場合は損害賠償問題に発展するリスクを伴います。

また、豪雨によって発電システムが浸水すると、故障や漏電を引き起こし、感電の危険も生じます。

台風による被害を最小限に抑えるためには、信頼できる業者による確実な施工が欠かせません。

⑤地震によるトラブル

日本は地震が多い国であり、太陽光発電システムの設置においても地震への備えは欠かせません。

強い地震が発生すると、その揺れによって太陽光パネルや架台が損傷したり、最悪の場合、屋根から落下したりする可能性があります。パネルは一枚でも数十キロの重さがあるため、落下すれば大きな被害につながることも。

特に、地上に設置するタイプの太陽光発電設備は、地盤の変動による影響を受けやすいため注意が必要です。

住宅の屋根に設置する場合は、建物の耐震性を考慮し、重量に耐えられるかしっかりと確認しておきましょう。

⑥土砂崩れによるトラブル

一般家庭の屋根ではなく、山に近い傾斜地などに大規模な太陽光発電設備を設置する場合、土砂崩れのリスクを考慮する必要があります。

近年、夏の集中豪雨などによって地盤が緩み、太陽光パネルごと崩壊してしまうケースが発生しています。

これは主に産業用の太陽光発電所で起こるトラブルではありますが、自宅が山の近くの傾斜地にある場合は注意が必要です。

安全基準を守った造成工事と、しっかりとした架台の設置がされていなければ、大きな災害につながる可能性も否定できません。

⑦落雷によるトラブル

落雷は、太陽光発電システムにとって故障の原因となる自然災害の一つです。

雷が設備に直撃しなくても、近くに落ちただけで「誘導雷サージ」という現象が発生し、非常に高い電圧が電線を伝ってパワーコンディショナーなどの機器に流れ込むことがあります。

これにより、内部の電子回路が破壊され、システム全体が停止してしまう可能性があります。

こうしたトラブルを防ぐためには、「避雷器(SPD)」を設置するのが有効な対策です。雷が多い地域で設置を検討する際は、業者に相談してみるのがよいでしょう。

太陽光発電システムの故障による3つのトラブル

太陽光発電システムは長期間使用するため、以下のようなトラブルが発生することもあります。

  • ⑧パワーコンディショナーからの火災トラブル
  • ⑨ホットスポットからの火災トラブル
  • ⑩自然の消耗・劣化によるトラブル

なぜなら、太陽光パネル本体やパワーコンディショナーなどの機器は、精密な部品で構成されており、時間とともに性能が低下したり、故障したりする可能性があるからです。

こうした故障を放置すると、発電量の低下だけでなく、火災などの重大な事故につながる危険性も否定できません。

⑧パワーコンディショナーからの火災トラブル

太陽光発電システムの故障トラブルの中でも、特に注意が必要なのがパワーコンディショナからの出火です。

この火災の原因として、施工不良によって機器の隙間から雨水やホコリ、虫などが侵入し、内部の基盤がショートしてしまうケースが挙げられます。

パワーコンディショナーの設置場所は住宅によってさまざまですが、特に家の外壁など屋外に設置する場合は、防水・防塵対策がきちんと施されているか確認しておきましょう。

また、燃えやすいものの近くには設置しないなど、場所の選定にも注意を払うべきです。

⑨ホットスポットからの火災トラブル

ホットスポットとは、太陽光パネルの表面の一部が、落ち葉や鳥のフン、積雪などの影響で影になり、その部分だけが異常に熱くなる現象です。

影になった部分は発電できずに抵抗となり、そこで発生した熱が集中して高温になります。

この状態を長時間放置すると、パネルが焼損したり、最悪の場合は火災につながったりするケースがあります。

ホットスポットは発電量の低下も招くため、トラブルを未然防止するには、専門業者に依頼して定期的にパネルの洗浄や点検を行ってもらいましょう。

⑩自然の消耗・劣化によるトラブル

太陽光発電システムは屋外に設置されるため、長年にわたり紫外線や雨風にさらされ続けます。

これにより、以下のような自然な消耗・劣化が進みます。

  • 太陽光パネルの表面コーティングが剥がれる
  • 配線の被覆がボロボロになる
  • 架台の金属部分が錆びる

こうした劣化を放置すると、発電効率の低下はもちろん、漏電や感電といった危険なトラブルを引き起こす原因になりかねません。

システムの寿命を延ばし、安全に使い続けるためには、定期的な点検で劣化のサインを早期に発見し、適切な補修を行うことが大切です。

太陽光発電の近隣トラブルを未然に防ぐための6つのポイント

太陽光発電の導入で後悔しないためには、トラブルを未然に防ぐための事前準備が欠かせません。

太陽光発電を設置する前には、以下のポイントを必ず押さえておきましょう。

  • 信頼できる業者を見極める
  • 工事着手前に近隣住民へ丁寧な説明を行う
  • 市区町村の条例に沿った施工計画を立てる
  • 事前の反射光シミュレーションで光の向きを確認する
  • パワコンの設置場所は隣家の生活環境に配慮する
  • メンテナンス計画を立てる

これらの準備を丁寧に行うことが、将来にわたって安心して太陽光発電システムを運用するための鍵となるからです。

では、それぞれ具体的に解説していきます。

信頼できる業者を見極める

太陽光発電に関するトラブルを防ぐうえで、最も重要な要素が信頼できる業者選びです。

なぜなら、業者の技術力や知識、誠実さによって、設置後の満足度は大きく変わるからです。

業者を選定する際は、価格の安さだけで判断するのではなく、以下のようなポイントを踏まえて選びましょう。

  • 自社で工事ができるか
  • 業者の実績は十分にあるか
  • 見積書は細かくわかりやすいか
  • 保証内容は十分にあるか
  • アフターフォローは充実しているか

また、信頼に足る依頼先を見極めるには、複数の事業者から話を聞き、見積もりを比較検討することも欠かせません。丁寧な現地調査を行い、メリットだけでなくリスクもきちんと説明してくれる事業者は信頼できる可能性が高いことも押さえておきましょう。

では、業者選びのポイントについて深掘りしていきます。

自社で工事ができるか

太陽光発電の業者の中には、販売のみを行い、実際の施工は下請け業者に委託する会社もあります。

上記のようなケースでは、責任の所在が曖昧になりやすく、トラブルが発生した際の対応が遅れるリスクがあります。

一方で、相談から設計、施工までを一貫して自社で行う業者は、情報伝達がスムーズで、工事の品質管理もしっかりしています。

施主と施工業者が直接契約を結ぶため、より強固な信頼関係を築きやすい点もメリットです。

万が一トラブルが起きたときも、連絡先が一つで済むため、迅速な対応が期待できます。

業者の実績は十分にあるか

太陽光発電を安全かつ長期的に利用するためには、設置業者の経験と実績が非常に重要です。

そのため、業者を選ぶときは公式サイトなどで過去の太陽光パネル設置実績が豊富にあるかを必ず確認しましょう。

実績の少ない業者は、さまざまな屋根の形状や設置条件に対応できるノウハウが乏しい可能性があるため要注意です。

また、以下のような特徴がある業者は、設置後にトラブルへ発展するリスクが高いため避けましょう。
・質問に対して明確な答えが返ってこない
・デメリットやリスクを説明しない
・強引に契約を迫る

見積書は細かくわかりやすいか

いくつかの業者に候補を絞ったら、実際に見積書を依頼しましょう。

その際に確認すべきポイントは、内容の具体性と明確さです。

単に「工事費一式」と記載されているのではなく、下記のような情報が細かく記載されているかを必ず確認してください。

  • 使用する機器のメーカーや型番
  • 数量
  • 単価
  • 工事内容の内訳

不明瞭な点が多い見積書を提出する業者は、信頼できるとはいえません。

複数の業者から相見積もりを取ることは、費用の適正さを判断するうえでもおすすめです。

保証内容は十分にあるか

万が一のトラブルに備えて、保証内容を前もって確認しておきましょう。

保証には、太陽光パネルなどの機器に対するメーカー保証のほかに、施工業者が独自に設けている工事保証や、自然災害に対する保障などがあります。

特に、雨漏りなど施工が原因で起こるトラブルに対して、どのような保証があるかは重要な確認事項です。

保証の期間や対象範囲、免責事項などを契約前に書面で細かく確認し、納得したうえで契約を進めるようにしましょう。

アフターフォローは充実しているか

太陽光発電は設置してからが本当のスタートであり、10年、20年と長く付き合っていく設備です。

そのため、設置後のアフターフォロー体制が充実している業者を選ぶようにしましょう。

具体的には、定期的なメンテナンスの案内があるか、トラブルが発生した際に迅速に対応してくれるかなどを確認しましょう。

定期メンテナンスに対応してくれる業者を選べば、毎回同じ担当者に設備の状況を把握してもらえるため、利用者としても安心できます。

長期的に安定した発電を維持するためにも、アフターフォローの有無は必ずチェックすべき項目です。

工事着手前に近隣住民へ丁寧な説明を行う

法的な義務はありませんが、工事を始める前に近隣住民へ挨拶に伺い、工事に関する説明を行うことは、良好な関係を築くうえで非常に効果的です。

以下のような情報をあらかじめ伝えておくことで、近隣住民の不安や不満を和らげ、理解を得やすくなるからです。

  • 工事の期間
  • 作業時間
  • 工事車両の出入り
  • 発生する可能性のある騒音

特に、反射光やパワーコンディショナの騒音など、懸念される点があれば正直に説明し、配慮する姿勢を見せることが大切です。

このひと手間が、将来の無用なトラブルを防ぐことにつながります。

市区町村の条例に沿った施工計画を立てる

太陽光発電を設置するときは、国が定めた事業計画策定ガイドラインのほかに、各市区町村が独自に定める条例にも従う必要があります。

特に、景観を重視する地域では、景観条例によって太陽光パネルの色や設置方法に制限が設けられている場合があるため注意しましょう。

これらの条例を守らずに施工を進めると、近隣住民からのクレームだけでなく、行政指導の対象となる可能性もあります。

反対に、条例に沿った施工計画を立てることは、トラブルを避けるための有効な方法です。地域のルールにくわしい施工業者を選ぶことも重要なポイントです。

事前の反射光シミュレーションで光の向きを確認する

反射光によるトラブルは、太陽光発電の近隣トラブルの中でも特に多く見られます。

過去には、「太陽光パネルからの反射により熱中症になった」として訴訟に発展したケースも。

これを防ぐ最も確実な方法は、設置前に専門業者に依頼し、反射光のシミュレーションを行うことです。

シミュレーションでは、季節や時間帯ごとの太陽の動きを考慮し、反射光が周辺の建物にどのような影響を与えるかを科学的に予測できます。その結果、問題があると判断された場合は、パネルの設置角度や位置を調整するなどの対策を講じます。

費用がかかるというデメリットはありますが、深刻なトラブルを回避できるため、検討する価値は十分にあります。

パワコンの設置場所は隣家の生活環境に配慮する

パワーコンディショナーから発生する稼働音が騒音トラブルの原因になることを防ぐため、設置場所の選定には細心の注意を払いましょう。

基本的には、隣家の寝室やリビングの窓に面した場所は避けましょう。

一般的には、人の出入りが少なく、隣家への影響も小さい住宅の北側などに設置されることが多いです。

業者から提案された設置場所に問題がないか、自分自身の目でも周辺の状況を確認し、隣家の生活環境に配念した場所を選ぶように心掛けましょう。

メンテナンス計画を立てる

太陽光発電の導入を検討する段階で、長期的なメンテナンス計画を立てておくこともトラブル回避につながります。

というのも、太陽光発電は設置して終わりではなく、定期的な点検や清掃が性能維持と安全確保に不可欠だからです。

たとえば、雑草を放置すると、パネルに影を作ってホットスポットの原因になったり、害獣の住処になったりするケースがあります。

メンテナンスを依頼するときやメンテナンスプランに加入するときは、特に除草作業が含まれているかどうかをチェックしておきましょう。

保守点検ガイドラインでは、雑草の状態をチェックするのを推奨されているのみで、除草作業が含まれていないことも多いため、メンテナンスのサービス内容は事前にしっかり確認が必要です。

万が一近隣トラブルが発生してしまった場合の相談窓口

どれだけ慎重に準備を進めても、予期せぬ近隣トラブルが発生してしまう可能性はゼロではありません。

当事者同士の話し合いだけで解決が難しい場合は、一人で抱え込まずに第三者の専門機関へ相談する選択肢も持ちましょう。

第三者に相談すれば、感情的にならず客観的な視点からアドバイスをもらえるため、冷静な対応が可能になります。

いざという時の心の支えとなる、主な相談窓口について把握しておきましょう。

施工業者

近隣からクレームなどのトラブルが発生した場合、最初に連絡すべき相談先は、太陽光発電を設置した施工業者です。

特に、以下のような設備の設置自体が原因と考えられる問題については、業者に対応を求めるのが筋道です。

  • 反射光
  • 騒音
  • 雨漏り

まずは状況を正確に伝え、現地調査を依頼しましょう。信頼できる業者であれば、問題解決のために誠実に対応してくれるはずです。

近隣住民への説明に同行してもらうなど、問題解決に向けた協力を仰ぐこともできるでしょう。

消費者センター

施工業者に相談しても対応してもらえない、あるいは業者の対応に不満があるといった場合は、消費者センターに相談する方法があります。

消費者センターは、消費者と事業者の間で起きた契約トラブルなどについて、専門の相談員が中立的な立場でアドバイスをしてくれる公的な機関です。

電話で「188(いやや!)」にかけると、最寄りの市区町村などにある相談窓口につながります。

相談をスムーズに進めるために、これまでの経緯をまとめたメモや契約書面などを手元に用意しておきましょう。具体的な解決策や交渉方法について助言をもらえます。

国民生活センター

国民生活センターは、地方公共団体が運営する消費者センターと同じく、消費者トラブルに関する相談を受け付けている国の機関です。

商品テストや専門的な調査研究も行っており、より複雑で専門的な問題についても対応しています。

基本的な流れとしては、まずはお住まいの地域の消費生活センターに相談し、そこでの解決が難しい場合に国民生活センターを利用することを検討します。

消費者トラブル全般に関する豊富な情報を持っており、解決に向けた有益な情報を得られる可能性があります。

弁護士

当事者間での話し合いや、公的機関への相談でもトラブルが解決しない場合の最終的な手段として、弁護士への相談があります。

弁護士に依頼すると、法的な観点から最適な解決策を提案してもらえるほか、代理人として相手方との交渉を任せられます。また、裁判を起こされるようなケースでは弁護士に委任することで、適切に訴訟に対応してもらえます。

費用がかかるというデメリットはありますが、損害賠償請求が必要な場合など、法的な解決を目指すうえでは最も確実な方法といえます。

太陽光発電に関するトラブルの解決実績が豊富な弁護士を探して相談することが、スムーズな解決への近道です。

まとめ

今回は、太陽光発電の設置に伴う近隣トラブルや、その他の潜在的なトラブルについて解説しました。

太陽光発電は、電気代の削減や環境貢献など多くのメリットがある一方で、設置方法や事前の準備を誤ると、思わぬトラブルを招く可能性があります。

特に、近隣住民との関係性は、一度こじれると修復が難しくなることも少なくありません。

よくある太陽光発電にまつわる近隣トラブル事例は、以下の6つです。

  • ①太陽光パネルの反射光による近隣トラブル
  • ②パワーコンディショナーの騒音による近隣トラブル
  • ③屋根からの落雪による近隣トラブル
  • ④太陽光パネルの設置により景観を損なう近隣トラブル
  • ⑤隣地の樹木や建物による近隣のトラブル
  • ⑥隣地の植物や動物による近隣トラブル

また、近隣とのトラブル意外にも、以下のような潜在トラブルについて認識しておきましょう。

  • ①工事の不備による雨漏りトラブル
  • ②補助金を受けられないトラブル
  • ③悪徳業者によるトラブル
  • ④台風・強風によるトラブル
  • ⑤地震によるトラブル
  • ⑥土砂崩れによるトラブル
  • ⑦落雷によるトラブル
  • ⑧パワーコンディショナーからの火災トラブル
  • ⑨ホットスポットからの火災トラブル
  • ⑩自然の消耗・劣化によるトラブル

上記のトラブルを未然に防ぐには、以下の6つのポイントを実践してみてください。

  • 信頼できる業者を見極める
  • 工事着手前に近隣住民へ丁寧な説明を行う
  • 市区町村の条例に沿った施工計画を立てる
  • 事前の反射光シミュレーションで光の向きを確認する
  • パワコンの設置場所は隣家の生活環境に配慮する
  • メンテナンス計画を立てる

万が一トラブルが起きた場合は、施工業者や消費者センターなどの専門機関に相談することをおすすめします。

太陽光発電のメリットを最大限に享受すべく、この記事で紹介したトラブル事例と防止策を参考に、慎重に計画を進めましょう。

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