蓄電池で電気代を節約するコツ5選|注意点と失敗しない選び方をご紹介!

- 蓄電池って本当に電気代の節約になるの?
- どうすれば蓄電池で効率的に電気代を削減できる?
- 住宅に蓄電池を導入したいけど、選び方で失敗したくない
毎月の電気代が高いと感じ、住宅への蓄電池導入を考え始める方は多くいらっしゃいます。
しかし、具体的な節約方法や注意点がわからず、一歩踏み出せないこともあるかもしれません。
そこで、この記事では以下の内容についてくわしく解説します。
- 蓄電池の導入で電気代が安くなる2つの仕組み
- 蓄電池で電気代を最大限に節約する5つのコツ
- 【要注意】蓄電池を設置しても電気代が高くなる4つのケース
- 蓄電池の有無による電気代シミュレーション
- 電気代の節約で失敗しない蓄電池の選び方
最後まで読めば、あなたの家庭に合った蓄電池の活用方法がわかり、賢く電気代を節約するためのノウハウが身につきます。
これから蓄電池の導入を検討する人や、節約効果を実感できていない人はぜひ参考にしてみてくださいね。
蓄電池の導入で電気代が安くなる2つの仕組み
蓄電池の導入で電気代が安くなるのには、主に2つの理由があります。
具体的には、以下の2点です。
- 電気料金が安い時間帯の電力を貯めて使うこと
- 太陽光発電でつくった電気を自家消費すること
ここでは、電気代削減につながる蓄電池のメリットについて、基本的な仕組みを解説します。
【仕組み①】割安な深夜電力を蓄えて昼間に使用する
多くの電力会社では、夜間の電気料金が割安になるプランを提供しています。
蓄電池は、この料金が安い時間帯に電力を蓄電し、電気料金が高い昼間に使用することが可能です。
具体的には、電力使用が少ない夜間に蓄電池を満充電にしておき、家族が活動する昼間の時間帯に、貯めた電気を放電して家庭の電力をまかないます。
このように、電気料金の価格差をうまく活用して、電力会社から高い電気を買う量を減らすのが、節約の基本的な仕組みの一つです。
ご家庭で契約している電力プランを確認し、時間帯による料金の違いを活かせるか検討してみましょう。
【仕組み②】太陽光発電でつくった電気を自家消費する
太陽光発電システムを設置している家庭では、太陽が出ている間に発電した電気を蓄電池に貯められます。
この貯めた電気を、発電できない夜間や天候が悪い日に使うことで、電力会社から電気を購入する量を大幅に減らすことができます。
この仕組みを「自家消費」と呼びます。
特に、再生可能エネルギーで発電した電気を固定価格で買い取ってもらえるFIT制度の期間が終了すると、売電価格が大きく下がります。そのため、売電するよりも自家消費する方が経済的なメリットが大きくなるのです。
太陽のエネルギーを無駄なく活用し、電気の自給自足を目指せます。

蓄電池で電気代を最大限に節約する5つのコツ
蓄電池を設置するだけでは、性能を十分に活かせない場合があります。
ここでは、蓄電池を導入した後に実践したい、より効果的な節電のコツを5つ紹介します。
- 太陽光発電システムと組み合わせる
- ライフスタイルに合った電気料金プランへ変更する
- 家庭の電力使用量に最適な容量の蓄電池を選ぶ
- 季節や時間帯に合わせて運転モードを切り替える
- 太陽光発電の余剰電力を売電する
電気代の節約効果を最大限に高めるために、少しの工夫と賢い使い方を押さえておきましょう。
①太陽光発電システムと組み合わせる
蓄電池の節約効果を最も高める方法は、太陽光発電システムとの併用です。
なぜなら、太陽光発電でつくった電気を蓄電池に貯め、夜間や早朝に使うことで、電気の自給自足率が格段に向上するからです。これにより、電力会社から購入する電気の量を最小限に抑えられ、電気料金の変動にも影響されにくくなります。
蓄電池のみを設置するよりも、太陽光発電とセットで導入した方が、長期的に見て大きな経済的メリットを生み出します。
これから蓄電池の設置を検討するなら、太陽光発電システムとの同時導入も視野に入れるのがおすすめです。
②ライフスタイルに合った電気料金プランへ変更する
蓄電池を導入するタイミングで、家庭の電気料金プランを見直すことも節約の重要なポイントです。
たとえば、夜間の電気料金が安くなるプランに変更すれば、太陽光発電ができない日でも、割安な夜間電力を蓄電池に貯めて昼間に使えます。
家族が日中在宅していることが多い家庭や、夜間に電気を多く使う家庭など、ライフスタイルによって最適なプランは異なります。
多くの電力会社では、ウェブサイトで料金シミュレーションができるため、どのプランが自分の家庭に合っているかを確認してみましょう。
③家庭の電力使用量に最適な容量の蓄電池を選ぶ
蓄電池を選ぶ際は、家庭の電力使用量に合った容量の製品を選ぶことも欠かせません。
というのも、容量が小さすぎると、貯めた電気がすぐに尽きてしまい、結局高い料金で電気を買うことになりかねないからです。
逆に、容量が大きすぎると初期費用が高額になり、元を取るまでに時間がかかってしまいます。
一般的な4人家族の場合、1日に使う電力量は約10kWh~15kWhといわれており、6kWh~9kWh程度の容量が目安の一つです。
まずは毎月の電気の検針票を確認し、1日にどれくらいの電気を使用しているか把握してから、最適な容量を検討しましょう。
④季節や時間帯に合わせて運転モードを切り替える
最近の蓄電池には、運転モードを自動で切り替える機能が搭載されているものが多くあります。
たとえば、太陽光発電の発電量が多い晴れた日には、発電した電気を優先的に使い、余った分を充電する「グリーンモード」などを利用します。
一方で、雨の日や冬場など発電量が少ない時期は、割安な深夜電力を充電して昼間に使う「経済モード」に設定するのが効率的です。
季節やその日の天候に合わせて運転モードを最適化することで、無駄なく電気を活用できます。
製品によってはAIが自動で最適な運転を学習する機能もあるため、上手に活用しましょう。
⑤太陽光発電の余剰電力を売電する
太陽光発電でつくった電気は、まず家庭で消費し、次に蓄電池に貯めるのが基本です。
それでも電気が余った場合は、余剰電力として電力会社に売電できます。FIT制度の適用期間中であれば、比較的高値で買い取ってもらえるため、収入を得ることも可能です。
ただし、FIT制度の期間が終了すると売電価格は大幅に下がるため、売電するよりも自家消費に回した方が経済的メリットは大きくなる傾向にあります。
蓄電池の充電が満タンで、かつ家庭での電力使用量が少ない時間帯に余剰電力が発生した場合の選択肢として、売電も有効な手段です。
【要注意】蓄電池を設置しても電気代が高くなる4つのケース

とはいえ、「蓄電池を導入すれば必ず電気代が安くなる!」と考えるのは早計です。
場合によっては、期待したほどの節約効果が得られなかったり、逆に電気代が高くなったりするケースも存在するからです。
こうした事態を避けるためには、どのような場合に問題が発生するのかを事前に知っておくことが大切です。
ここでは、「蓄電池を設置したにもかかわらず電気代が高くなった…」と感じる、下記の4つの原因とその対策を解説します。
- 太陽光発電なしで蓄電池を設置している
- 家庭の電気使用量と蓄電池の容量が合っていない
- もともとの電気代が安く節約効果が小さい
- 太陽光発電の発電量が低下している
①太陽光発電なしで蓄電池を設置している
太陽光発電システムを併設せず、蓄電池のみを設置した場合、節約効果が限定的になることがあります。
この場合の主な節約方法は、料金が安い深夜電力を充電し、昼間に使うという方法に限られます。しかし、近年では燃料費の高騰などにより、深夜電力と昼間の電力料金の価格差が小さくなっている傾向があります。
そのため、価格差によるメリットが少なくなり、高い初期費用に見合った節約効果を得られない可能性があるのです。
やはり、太陽光発電でつくった電気を自家消費する形が、最も効果的な使い方と言っても過言ではありません。
②家庭の電気使用量と蓄電池の容量が合っていない
蓄電池の容量が家庭の電気使用量に対して小さすぎると、夜間や朝方に貯めた電気がすぐに不足してしまいます。
その結果、電気料金が高い時間帯に電力会社から電気を買わなければならず、節約効果が薄れてしまいます。
逆に、必要以上に大容量の蓄電池を導入すると、初期費用が無駄に高くなるだけでなく、常にフル活用できずに宝の持ち腐れになる可能性も考えられます。
家庭の電気使用状況を正確に把握し、過不足のない最適な容量を選ぶことが、コストパフォーマンスを高めるうえで非常に重要です。
③もともとの電気代が安く節約効果が小さい
もともとの電気使用量が少ない家庭では、蓄電池を導入しても節約できる金額の上限が低いため、効果を実感しにくい場合があります。
たとえば、一人暮らしや共働きで日中はほとんど家にいない家庭などです。
蓄電池の導入には高額な初期費用がかかるため、毎月の節約額が小さいと、費用を回収するまでに非常に長い年月がかかってしまいます。
一般的に、蓄電池の節約効果を最大限に享受できるのは、日中の在宅時間が長く、電気使用量が多い家庭や、オール電化の住宅などです。
④太陽光発電の発電量が低下している
太陽光発電の発電量が低下すると、蓄電池に貯められる電気の量も減ります。そうなると、結果的には電力会社から購入する電力が増え、電気代が高くなることに。
なお、発電量が低下する原因はいくつかあります。
- 太陽光パネルの汚れ
- 太陽光パネルの経年劣化
- パワーコンディショナの故障
特に、太陽光パネルは一般的に年間0.5%程度、性能が低下するといわれており、長期的に見れば発電量は徐々に減少するものと考えておきましょう。
発電量を維持し、安定した節約効果を確保するためには、システムの発電状況を定期的にチェックし、パネルの清掃や機器のメンテナンスを適切に行うことが欠かせません。
【シミュレーション】蓄電池の有無で電気代はどれくらい変わる?
蓄電池を導入すると、実際の電気代はどのくらい変わるのでしょうか。
ここでは、具体的なモデルケースを設定し、太陽光発電のみを設置している場合と、太陽光発電と蓄電池を併用している場合で、年間の電気代を比較計算してみます。
シミュレーションを通じて、蓄電池がもたらす経済的なメリットをより具体的にイメージしてみましょう。
太陽光発電のみを設置している場合の電気代
まず、太陽光発電システムのみを設置している家庭の電気代をシミュレーションします。
【 条件 】
- 家族構成:4人家族
- 太陽光発電の容量:5kW
- 年間発電量:5,500kWh
- 年間電力消費量:6,000kWh
- 自家消費率:60%
- 買電単価:30円/kWh
- 売電単価:16円/kWh
この場合、年間に購入する電力量は「6,000kWh(消費量)-5,500kWh×60%(自家消費分)=2,700kWh」となります。つまり、年間の電気料金は「2,700kWh×30円=81,000円」です。
一方、売電による収入は「5,500kWh×40%(売電分)×16円=35,200円」です。
したがって、年間の実質的な電気代は「81,000円-35,200円=45,800円」と計算できます。
太陽光発電と蓄電池を併用している場合の電気代
次に、同じ条件の家庭が蓄電池(容量7kWh)を併用した場合の電気代をシミュレーションします。
蓄電池を導入したことで、太陽光発電でつくった電気をより多く自家消費できるようになり、自家消費率が80%に向上したと仮定します。
【 条件 】
- 自家消費率:80%
- その他は太陽光発電のみの場合と同じ
この場合、年間に購入する電力量は「6,000kWh(消費量)-5,500kWh×80%(自家消費分)=1,600kWh」に減少します。年間の電気料金は「2,150kWh×30円=48,000円」です。
一方、売電による収入は「5,500kWh×20%(売電分)×16円=17,600円」となります。
したがって、年間の実質的な電気代は「48,000円-17,600円=30,400円」になりました。
自家消費率の差が大きくなればなるほど、両者の電気代の差は開くことになるのです。
電気代の節約で失敗しない蓄電池の選び方
蓄電池の導入で電気代節約を成功させるには、ご家庭の状況に最適な製品を選ぶことが最も重要です。
容量や機能、価格帯など、蓄電池にはさまざまな種類があり、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。
ここでは、それぞれの家庭の目的やライフスタイルに合った、おすすめの蓄電池を選ぶための3つのポイントを解説します。
- 1日の電気使用量を目安に蓄電容量を決める
- 停電時に使いたい家電の消費電力を確認する
- 将来の家族構成やライフプランの変化を考慮する
いずれも蓄電池を選ぶうえで重要なポイントですので、すべてチェックしてみてくださいね。
【ポイント①】1日の電気使用量を目安に蓄電容量を決める
蓄電池選びで最も重要なのが蓄電容量です。
まずは、毎月の電気の検針票を確認し、家庭の1日あたりの平均的な電気使用量を把握しましょう。特に、日中と夜間のどちらに電気を多く使っているかを知ることがポイントです。
たとえば、夜間の使用量が多い家庭ならその量をまかなえる容量が必要です。一般的には1日の電力消費量の6割〜7割をカバーできる容量が目安とされています。
ライフスタイルを参考にして、無駄なくかつ不足しない容量を選ぶことが費用対効果を高める第一歩です。
【ポイント②】停電時に使いたい家電の消費電力を確認する
蓄電池は電気代の節約だけでなく、災害などによる停電への備えとしても大きな役割を果たします。
そのため、停電時に最低限どの家電を使いたいかをあらかじめ考えておくことが大切です。
たとえば、冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電などを確保したい場合、それらの消費電力の合計値を確認する必要があります。どの家電が消費電力が多いのかも把握しておくと、いざという時に役立つでしょう。
また、蓄電池には家全体の電気をバックアップする『全負荷型』と、特定のコンセントだけ使える『特定負荷型』があります。
停電時に使いたい家電の種類や数によって、どちらのタイプが適しているか、また必要な出力(W)がどれくらいかを判断しましょう。
【ポイント③】将来の家族構成やライフプランの変化を考慮する
蓄電池は一度設置すると10年以上は使用する、長期的な投資です。
そのため、現在の状況だけでなく、将来の家族構成やライフプランの変化も考慮に入れて選びましょう。
たとえば、将来子供が独立して電気使用量が減る可能性がある、あるいは在宅ワークの導入で日中の電気使用量が増えるかもしれません。
こうした変化を見越して、少し余裕のある容量を選ぶか、後から容量を増設できるタイプの製品を選ぶといった選択肢を持ってきましょう。
長期的な視点を持ち、将来にわたって十分な性能を発揮できる製品を選ぶことが肝心です。
まとめ
今回は、蓄電池を活用した電気代の節約方法や注意点、失敗しない選び方について解説しました。
蓄電池の導入によって、電気代を節約できる仕組みは「深夜電力の活用」と「太陽光発電の自家消費」が鍵となります。
節約効果を高めるには、次の5つのコツを押さえておきましょう。
- 太陽光発電システムと組み合わせる
- ライフスタイルに合った電気料金プランへ変更する
- 家庭の電力使用量に最適な容量の蓄電池を選ぶ
- 季節や時間帯に合わせて運転モードを切り替える
- 太陽光発電の余剰電力を売電する
とはいえ、蓄電池を設置したからといって必ずしも節約に直結するとは限りません。そうならないためには、以下の4点についても理解しておきましょう。
- 太陽光発電なしで蓄電池を設置している
- 家庭の電気使用量と蓄電池の容量が合っていない
- もともとの電気代が安く節約効果が小さい
- 太陽光発電の発電量が低下している
また、蓄電池の導入で失敗しないためには、以下の3つのポイントを踏まえたうえで選びましょう。
- 1日の電気使用量を目安に蓄電容量を決める
- 停電時に使いたい家電の消費電力を確認する
- 将来の家族構成やライフプランの変化を考慮する
蓄電池の導入は毎月の電気代を削減するだけでなく、災害時の非常用電源としても機能し、安心した暮らしを提供します。
初期費用は決して安くありませんが、国や自治体が提供する補助金制度を活用することで、負担を軽減できる場合もあります。
納得のいく蓄電池の導入を実現するには、まずご家庭の電気の使い方を正確に把握し、複数の専門業者から話を聞いて、最適なプランを見つけることを心がけましょう。