太陽光発電の後付けは損する?知っておきたいメリット・デメリットと費用・税金
- 太陽光発電を後付けしたいけれど、費用はどのくらいかかるのだろう?
- 後付けすると、どんな良いことや困ることがあるのだろう?
- 本当に後付けしても損しないか心配…
こんな悩みにお答えします。
太陽光発電の後付けについて、このような疑問や不安を抱えている方は少なくありません。太陽光発電システムの設置にはそれなりの費用もかかるため、慎重になるのも当然ですよね。
しかし、正しい情報を知ることで、後付けが賢い選択肢となる可能性は大いにあります。
そこでこの記事では、以下の内容についてくわしく解説します。
- 太陽光発電を後付けするために必要な費用
- 太陽光発電を後付けする7つのメリット
- 太陽光発電を後付けする5つのデメリット
- 太陽光発電を後付けしても損しない3つの理由
- 太陽光発電の後付け前に知っておきたい5つの注意点
- 蓄電池の後付けでよくある質問
この記事を読み終える頃には、太陽光発電の後付けに関する疑問が解消され、ご自宅への導入を具体的に検討するための第一歩を踏み出せるでしょう。
丁寧に解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

太陽光発電を後付けするために必要な費用とは?
太陽光発電を後付けする費用には、以下のような初期費用がかかります。
- ソーラーパネルなどの部材費
- 設置工事費
- 足場代
- 配線工事費
また、これらの初期費用に加え、システムを長く使うためのメンテナンス費用や維持費用も考慮しなければなりません。
ソーラーパネルの種類や枚数、設置する建物の状況によって価格は大きく変動するため、事前にしっかりと見積もりを取り、全体的な費用を把握することが大切です。
初期費用(部材費・設置費・足場代・配線工事費)
太陽光発電を後から設置するときの初期費用として、まずは発電の要となるソーラーパネル自体の価格が大きな割合を占めます。ソーラーパネルの種類や性能によって価格は異なりますので、ご自身の予算や発電目標に合わせて選びましょう。
次に、ソーラーパネルを屋根に固定するための設置費用が発生します。設置費用には、パネルの運搬費や固定具の費用も含まれます。
また、安全に工事を行うためには、屋根の周りに足場を組む必要があり、その足場代も別途かかります。特に、既存の建物にソーラーパネルを後付けする場合、足場の設置は必須となるケースが多いです。
さらに、発電した電気を家庭内で使えるようにしたり、電力会社に売電したりするための配線工事費も必要となります。
これらの初期費用は100万円~300万円程度に収まることが多いですが、どうしても設置するソーラーパネルの枚数やシステムの規模、建物の構造によって大きく変動します。そのため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
メンテナンス費用と維持費用
太陽光発電システムは、一度設置すれば終わりというわけではありません。長期的に安定して発電を続けるためには、定期的なメンテナンス費用と維持費用が欠かせません。3~4年に1回行う点検にかかる費用は約4~5万円程度が目安です。
メンテナンス費用としては、パワーコンディショナーなどの主要機器の点検や交換費用が挙げられます。
パワーコンディショナーは、直流電力を交流電力に変換する重要な機器であり、10年~15年程度で交換が必要になることが一般的です。交換費用は数十万円かかる場合もあります。また、ソーラーパネルの汚れを清掃する費用や、不具合が発生した際の修理費用なども考慮に入れておく必要があります。
維持費用としては、システムを監視するための通信費用や、条件によっては固定資産税などが含まれる場合があります。これらの費用は、システムの規模や契約内容によって異なりますが、年間数万円程度の費用を見込んでおくと良いでしょう。
初期費用だけでなく、長期的な運用にかかるこれらの費用も把握しておくことで、無理のない導入計画を立てられます。

太陽光発電を後付けする7つのメリット
太陽光発電を後付けで導入するメリットは、次の7つです。
- 電気料金を節約できる
- 余剰電力を販売できる
- 断熱効果を高められる
- 災害時に非常用電力として供給できる
- 固定資産税を軽減できる
- 自分で設置業者をゆっくり選べる
- 焦らずに自分のペースで設置できる
既存の住宅に太陽光発電システムを設置することで、電気料金の節約はもちろん、災害時の電力確保など、上記のようにさまざまな恩恵を受けられます。
それぞれのメリットについて、くわしく見ていきましょう。
①電気料金を節約できる
太陽光発電を導入する最大のメリットの一つは、電気料金を大幅に節約できる点です。
なぜなら、自宅の屋根で太陽光を電力に変えることで、電力会社から購入する電気の量を減らせるからです。特に、日中の電気料金が高い時間帯に自家発電した電気を使用すれば、その節約効果はより大きくなるでしょう。
たとえば、日中に在宅時間が長く、エアコンや照明などの電化製品を多く使用する家庭では、太陽光発電による節約効果をより実感できるはずです。
また、電気料金は燃料価格の高騰などにより今後も値上がりする可能性があるため、自分で発電した電気を使うことで、電気料金の値上げリスクを抑えることにもつながります。
②余剰電力を販売できる
太陽光発電システムを導入すると、ご家庭で使いきれずに余った電気を電力会社に売ることができます。
これは「売電」と呼ばれる仕組みで、経済的なメリットの一つです。特に、太陽光発電システムで発電した電気は、固定価格買取制度(FIT制度)によって、一定期間、国が定めた価格で買い取ってもらえます。
この制度は、再生可能エネルギーの普及を目的としており、導入から10年間は安定した収入が期待できるため、初期費用の回収を早めることにもつながります。
昼間は仕事などで外出している家庭など、自家消費量が少ない場合でも、発電した電気を売電することで収益を得られるのは大きな魅力と言えるでしょう。
③断熱効果を高められる
太陽光パネルを屋根に設置することで、建物の断熱効果を高められるメリットがあります。
屋根にパネルが設置されることで、直射日光が屋根に直接当たるのを防ぎ、屋根材の温度上昇を抑える効果が期待できるからです。
夏場には、屋根からの熱の侵入を和らげ、室内の温度上昇を抑制することで、エアコンの使用量を減らし、電気代の節約にもつながります。また、冬場には、屋根からの熱の放出を緩やかにすることで、室内の暖かさを保ちやすくなる効果も期待できるでしょう。
このように、太陽光パネルは発電機能だけでなく、建物の断熱性向上にも貢献し、一年を通して快適な室内環境の維持に役立ちます。
④災害時に非常用電力として供給できる
太陽光発電システムを後付けで導入するメリットとして、災害時に非常用電力として活用できる点が挙げられます。
地震や台風などの災害によって停電が発生した場合でも、太陽光発電システムがあれば、日中に太陽が出ている間は電気を自給自足できます。
特に、蓄電池と組み合わせることで、発電した電気をためておき、夜間や悪天候時にも電力を供給できるようになります。これにより、照明や携帯電話の充電、最低限の家電製品の使用が可能となり、災害時における生活の安心感をグッと高められます。
突然の停電に備え、自家発電システムを持つことは、家族の安全を守るうえで非常に重要な役割を果たすでしょう。耐震性に優れた施工を行うことで、万が一の災害時にも安心して使用できるシステムを構築できます。
⑤固定資産税を軽減できる
太陽光発電システムを後付けで導入する場合、条件によっては固定資産税を軽減できる可能性があります。
建物に太陽光パネルを設置する際、屋根材とは異なる「家屋の設備」として判断されると、固定資産税の対象外となることがあるからです。これは、屋根の上に架台を設置してパネルを載せる工法の場合に当てはまります。
一方で、新築住宅に太陽光発電を導入する際に用いられる屋根一体型のパネルは、屋根の一部とみなされることが多く、固定資産税の課税対象になる場合があります。
長期的に見ると、固定資産税がかからないことは経済的なメリットが大きいと言えるでしょう。
⑥自分で設置業者をゆっくり選べる
太陽光発電を後付けする大きなメリットの一つは、設置業者を自分のペースでじっくり選べることです。
新築時に太陽光発電を導入する場合、住宅メーカーやハウスメーカーが提携している業者が決まっていることが多く、選択肢が限られてしまう場合があります。また、家を建てるという大きなプロジェクトの中で、太陽光発電の検討に十分な時間を割くことが難しいケースも少なくありません。
しかし、後付けであればすでに家が建っているため、複数の施工業者から見積もりを取り、以下のような要素をじっくりと比較検討する時間を十分に確保できます。
- 価格
- 工事内容
- アフターサポート
これにより、自分の希望に最も合った業者やシステムを選び、納得のいく形で導入を進められるでしょう。
⑦焦らずに自分のペースで設置できる
太陽光発電を後付けで設置するメリットの一つとして、自分のペースでじっくりと導入を検討できる点もあります。
新築住宅を建てる際、太陽光発電システムの導入は、住宅全体の設計や他の設備との兼ね合いもあり、限られた時間の中で決断を迫られることがあります。しかし、後付けであればすでに家が建っているため、焦る必要がありません。
そのため、下記のような多くの情報を時間をかけて比較検討できます。
- 太陽光発電の種類
- 太陽光発電の性能
- 施工方法
- 導入費用
複数の業者から見積もりを取り、それぞれの提案内容や保証、アフターサービスなどをじっくりと吟味し、ご自身のライフスタイルや予算に最適な太陽光発電システムを選べるでしょう。この余裕が、将来にわたって安心して利用できるシステム選びにつながります。

太陽光発電を後付けする5つのデメリット
太陽光発電を後付けすることには、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
導入を検討する際には、これらのデメリットもしっかりと把握しておくことが重要です。
ここでは、太陽光発電を後付けする際に注意すべき、以下の5つのデメリットについて解説します。
- 足場の分だけ設置費用が高額になる
- 屋根の強化工事が必要になる
- メーカー保証に悪影響する可能性がある
- 住宅ローンを利用できないことがある
- 火災保険料が上がる可能性がある
①足場の分だけ設置費用が高額になる
太陽光発電を後付けする際のデメリットの一つとして、足場を組む費用が初期費用に上乗せされ、全体の設置費用が高額になる点が挙げられます。
新築時に太陽光発電を導入する場合、住宅建設の際に組まれた足場をそのまま利用できるため、別途足場代がかからないことがほとんどです。
しかし、既存の住宅に後から太陽光発電システムを設置する場合、安全に工事を行うために必ず足場を組む必要があります。この足場代は、一般的に10万円~30万円程度かかることが多く、設置費用の総額に影響を与えます。
そのため、後付けを検討する際には、この足場代も費用の一部として考慮に入れ、事前に見積もりを確認しておきましょう。
②屋根の強化工事が必要になる
太陽光発電システムを屋根に設置する際、パネルの重量に屋根が耐えられるか事前に確認が必要です。
特に、築年数が古い家や屋根の構造によっては、パネルの重さで屋根に負担がかかり、耐震性が低下する恐れがあります。このような場合、太陽光パネルの設置に先立って、屋根の補強や強化工事が必要になることがあります。強化工事には追加の費用がかかるだけでなく、工事期間も長くなるリスクも。
そのため、太陽光発電の後付けを検討するときは、事前に専門業者による屋根診断を受け、補強工事の有無やその費用について確認しておきましょう。
万が一の災害時にも安心して暮らせるよう、耐震性も考慮した計画を立てましょう。
③メーカー保証に悪影響する可能性がある
太陽光発電を後付けするときのデメリットとして、既存の住宅メーカーや屋根メーカーの保証に影響が出る可能性に注意が必要です。
もし、住宅の屋根に何らかの不具合が生じた場合、太陽光パネルを設置したことが原因で、既存の保証が適用されなくなるリスクがあるからです。特に、屋根に穴を開けてパネルを設置する工法の場合、雨漏りなどのトラブルにつながる可能性もゼロではありません。
そのため、太陽光発電の設置を検討する際には、事前に住宅メーカーや屋根メーカーに相談し、保証内容について確認しておくことが非常に重要です。
また、太陽光発電システムの設置業者選びも慎重に行い、設置後の保証内容についても細かく確認するようにしましょう。
④住宅ローンを利用できないことがある
太陽光発電を後付けする際のデメリットとして、住宅ローンを利用できないケースがある点も挙げられます。
新築住宅に太陽光発電システムを導入する場合、建物の一部として住宅ローンに組み込めることが一般的です。しかし、既存の住宅に後から太陽光発電を設置する際は、設備投資とみなされることが多く、住宅ローンの対象とならない場合があります。
その代わりに、リフォームローンやソーラーローンといった、別のローンを利用することになります。これらのローンは、住宅ローンと比較して金利が高めであったり、借入期間が短かったりすることがあるため、返済計画に影響を与える可能性に注意しましょう。
あらかじめ金融機関に相談し、利用できるローンの種類や条件を確認しておきましょう。
⑤火災保険料が上がる可能性がある
太陽光発電システムを後付けすると、火災保険料が上がる可能性があります。
これは、太陽光パネルが建物の評価額に加算されるためです。建物の評価額が高くなると、それに比例して保険料も高くなるのが一般的です。
また、太陽光発電システム自体が火災の原因となる可能性は低いものの、万が一の故障や事故に備えて、保険会社がリスクと判断する場合もあります。
そのため、太陽光発電の導入を検討する際には、事前に加入している火災保険会社に相談し、保険料がどの程度変動するか確認することをおすすめします。火災保険の保障内容を見直し、太陽光発電システムが保障対象に含まれるかどうかも確認しておきましょう。
太陽光発電は後付けしても損しない3つの理由
太陽光発電の導入を検討されている方の中には、「今から後付けしても本当に元が取れるのか?」「損をしてしまうのではないか?」といった不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現在の太陽光発電システムは、さまざまな進化を遂げており、後付けで導入しても十分に採算が合い、長期的に見ても損をしない可能性が高いです。
ここでは、太陽光発電を後付けしても損をしないと考えられる3つの理由についてくわしく解説します。
太陽光発電の発電効率が年々良くなっているから
太陽光発電システムは、技術の進歩により、年々その発電効率が向上しています。
以前の太陽光パネルと比較して、少ない面積で多くの電力を生み出すことが可能になっており、これは後付けで限られたスペースに設置する場合にも大きなメリットとなります。
たとえば、太陽光を効率的に集めて発電する「集光型太陽光発電システム」のような新しい技術も開発されており、将来的にはさらに高い発電効率が期待されています。FIT制度(固定価格買取制度)による電力の買取価格が以前よりも下がっているとはいえ、システムの価格自体も下がってきているため、コストパフォーマンスは向上しています。
このため、今から太陽光発電システムを導入しても、長期的に見て初期費用を十分に回収し、電気代の節約や売電収入による経済的メリットを享受できる可能性が高いと言えるのです。
長寿命化によって費用対効果が高まっているから
太陽光発電システムは、技術の進化によりその長寿命化が進んでおり、以前の製品と比較して費用対効果が格段に高まっています。
太陽光パネルの寿命は30年以上とも言われており、初期投資を回収した後の利用期間が長くなることで、トータルでの経済的なメリットが大きくなります。
また、システムの中核を担うパワーコンディショナーも性能が向上し、適切な日常点検を行うことで長期にわたる使用が可能です。
長く使い続けられるということは、初期費用を中長期的な視点で回収できる見込みが立ちやすくなるため、導入へのハードルが下がります。これにより、太陽光発電の導入を検討している方々にとって、より魅力的な投資先となっています。
自家消費しつつ余剰電力は売れるから
太陽光発電システムを導入することで、自宅で発電した電気を自分で使う「自家消費」と、余った電気を電力会社に売る「売電」の両方を効率的に行えるため、経済的なメリットが大きいです。
特に、昼間の電気料金は夜間よりも高めに設定されている電力会社が多く、太陽光発電で得た電気をこの時間帯に自家消費することで、高い電気代を払わずに済みます。さらに、使いきれずに余った電気は売電できるため、無駄なく電気を有効活用できます。
これにより、電気代を実質0円に近づけることも期待でき、家計に大きな助けとなるでしょう。
ただし、発電量は天候に左右されるため、その点は考慮しておく必要があります。

太陽光発電の後付け前に知っておきたい5つの注意点
太陽光発電を後から設置する場合、次の5つのポイントに注意が必要です。
- 屋根の強度
- 影がかかる時間帯
- パワコンや蓄電池の設置場所
- 近隣トラブル&業者トラブル
- 設置後10年以内の解体予定
特に、設置場所に関する注意点や、思わぬトラブルを避けるためのポイントは必ず把握しておきましょう。
①屋根の強度
太陽光パネルはそれなりの重量があるため、設置前に専門業者による屋根診断を受け、現在の屋根がパネルの総重量に耐えられるかを確認する必要があります。
もし、築年数が古い家や、屋根の梁の強度が不足していると判断された場合は、パネル設置前に屋根の補強工事が求められることがあります。この補強工事には追加費用が発生し、工期も延びる可能性があります。
また、仮に現在の屋根の強度が十分であったとしても、パネルを設置することで家屋全体の耐震性がわずかに変化する可能性も考慮に入れるべきです。
万が一に備え、災害保険の補償内容や、システムと家屋両方の保証期間についても事前に確認し、無理のない導入計画を立てるようにしましょう。
②影がかかる時間帯
太陽光発電システムを効率的に運用するためには、設置する屋根に影がかかる時間帯について注意が必要です。
なぜなら、周辺に山や高層の建物、成長した木などがあると、日中に屋根の一部に影が落ち、太陽光パネルに十分に光が当たらないことがあるからです。
パネルの一部でも影になると、その部分だけでなく、システム全体の発電効率が低下する「ホットスポット現象」と呼ばれる現象が発生する可能性もあります。この発電量の低下は、想定していた売電収入や電気代の節約効果に大きく影響を与えます。
そのため、太陽光発電の導入を検討するときは、設置場所の年間を通じた日当たり状況をくわしくシミュレーションしておきましょう。もし、影の影響が懸念される場合は、信頼できる業者に相談し、適切なパネルの配置やシステムの選定についてアドバイスをもらいましょう。
③パワコンや蓄電池の設置場所
太陽光発電システムを後付けで利用する場合、パワーコンディショナー(パワコン)や蓄電池といった周辺機器の設置場所を確保する必要があります。
パワコンは、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換する重要な機器であり、通常は屋外や屋内に設置されます。
蓄電池は、発電した電気をためておくことで、夜間や災害時にも電気を使えるようにする機器で、こちらも設置スペースが必要です。
これらの機器は、大きさや重さがあるため、あらかじめ設置場所を検討しておかなければなりません。屋外設置の場合は、直射日光や雨風から保護できる場所を選ぶ必要があり、屋内設置の場合は、湿気が少なく、ある程度のスペースが確保できる場所が望ましいです。
それぞれの機器の特性や適切な設置環境について業者と相談し、事前に設置場所を確保しておくことがスムーズな導入につながります。
④近隣トラブル&業者トラブル
太陽光発電システムを設置する際は、近隣トラブルや業者トラブルにも注意しましょう。
特に、太陽光パネルの反射光が原因で、ご近所から「まぶしい」「熱い」といった苦情が出るケースがあります。自分では気づきにくい反射光ですが、実際に裁判にまで発展した事例も報告されており、事前に業者と相談し、パネルの角度や設置場所について十分に検討しておきましょう。
また、工事中の騒音も近隣トラブルの原因となり得ます。工事開始前には、必ず近隣住民の方々へ挨拶を行い、工事期間や時間帯を伝えるなど、配慮を怠らないようにしましょう。
さらに、太陽光発電の設置業者の中には、残念ながら悪質な業者も存在します。契約内容をよく確認せず、高額な契約を迫られたり、ずさんな施工をされたりするトラブルも発生しています。複数の業者から見積もりを取り、口コミや実績を調べて信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。
⑤設置後10年以内の解体予定
太陽光発電システムを後付けで導入する際、設置後10年以内に建物の解体予定がないか、しっかりと確認しておくことが重要です。
というのも、太陽光発電システムは初期投資が比較的高額であるため、FIT制度の適用期間である10年間、継続して利用することで採算が取れるように設計されているからです。
もし、設置後すぐに引っ越しや建て替え、増築などにより家屋を解体する予定がある場合、十分に発電した電気を自家消費したり、売電したりする期間が確保できず、初期費用を回収することが難しくなる可能性があります。導入費用が無駄になってしまう大きな損害につながりかねません。
そのため、太陽光発電の導入を検討する前には、今後10年間のライフプランをしっかりと見直し、システムを継続して利用できる環境にあるかどうかを確認するようにしましょう。

太陽光発電の後付けでよくある質問
最後に、太陽光発電の後付けについてよくある質問にお答えします。
今後抱えるかもしれない疑問を、先に解消しておきましょう。
それぞれぜひ参考にしてみてください。
太陽光発電の後付けで失敗しないポイントは?
太陽光発電の後付けで失敗しないために最も大切なのは、価格の安さだけで業者を選ばないことです。工事の品質や、設置後の保証、アフターサポート体制が充実している販売店を選ぶようにしましょう。
信頼できる業者であれば、太陽光パネルだけでなく、蓄電池やV2Hといった関連システムについても詳しく解説し、お客様の環境に合わせた導入計画を立ててくれるでしょう。
さらに、メーカーの施工IDを保有する認定施工店と提携しているか、コールセンターなどのサポート体制が整っているかなども確認し、長期的に安心して利用できるシステムを導入することが失敗の回避につながります。
強引な勧誘や営業がないか、事前にしっかりと確認することも重要です。
蓄電池の後付けにはどれくらいの期間がかかる?
蓄電池を後付けで設置する場合の工事期間は、一般的な家庭用蓄電池であれば、通常1日~2日程度で完了することが多いです。
ただし、以下のような条件によって期間は変動します。
- 設置する蓄電池の種類や容量
- ご自宅の電気配線の状況
- 設置場所の準備状況
たとえば、設置場所の整地が必要な場合や、既存の配線が複雑な場合は、もう少し時間がかかることもあります。また、工事日程は、業者の混み具合や天候によっても左右されるため、具体的な期間については、見積もりを取る際に担当の業者に確認することをおすすめします。
工事中は一時的に停電になることもありますが、事前に業者から説明がありますので、準備をしておくと良いでしょう。
蓄電池を導入するときに補助金は使える?
蓄電池を導入する際には、国や地方自治体から補助金を受けられる可能性があります。これらの補助金は、再生可能エネルギーの普及を促進することや、災害時の電力確保を支援することを目的に設けられています。
国の補助金としては、経済産業省が実施しているものや、環境省が実施しているものなど、年度によってさまざまな制度があります。
また、お住まいの地方自治体でも、独自の蓄電池導入補助金制度を設けている場合がありますので、お住まいの自治体のホームページなどで確認してみましょう。
補助金の申請には、それぞれ条件や期限が設けられているため、あらかじめ情報収集を行い、必要な書類を準備しておくことが重要です。補助金を活用すれば、蓄電池導入にかかる費用を抑え、より経済的にシステムを導入できる可能性が高まります。
設置費用の回収まで何年かかる?
太陽光発電システムの設置費用がどれくらいの期間で回収できるか、多くの方が気になる点でしょう。
一般的に、太陽光パネルの寿命が25年~30年と長期なのに対して、設置費用は約10年前後で回収できると言われています。
ただし、この回収期間は次のような要素によって大きく変動します。
- 設置するシステムの容量
- 日当たり状況
- 電気の使用状況
- 売電価格
- 導入費用
また、定期的なメンテナンス費用や、システムを維持するための費用も考慮する必要があります。
設置費用をより早く回収する方法としては、自家消費率を高めて電気代の節約効果を最大限に引き出すことや、余剰電力を効率的に売電することが挙げられます。具体的な回収年数を知るためには、専門業者による詳細なシミュレーションを受けることをおすすめします。
まとめ
今回は、太陽光発電の後付けについての費用やメリット・デメリット、後付けしても損をしない理由、注意点などについてくわしく解説しました。
太陽光発電システムを後付けすることは、初期費用や屋根の強度に関する注意点があるものの、以下のように多くのメリットを享受できることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
- 電気料金を節約できる
- 余剰電力を販売できる
- 断熱効果を高められる
- 災害時に非常用電力として供給できる
- 固定資産税を軽減できる
- 自分で設置業者をゆっくり選べる
- 焦らずに自分のペースで設置できる
一方で、太陽光発電を後付けする際は、デメリットもきちんと把握しておきましょう。
- 足場の分だけ設置費用が高額になる
- 屋根の強化工事が必要になる
- メーカー保証に悪影響する可能性がある
- 住宅ローンを利用できないことがある
- 火災保険料が上がる可能性がある
現在の太陽光発電システムは、発電効率の向上や長寿命化が進んでおり、後付けで導入しても十分に費用対効果が期待できます。
太陽光発電を設置するときは、以下のポイントに気をつけましょう。
- 屋根の強度
- 影がかかる時間帯
- パワコンや蓄電池の設置場所
- 近隣トラブル&業者トラブル
- 設置後10年以内の解体予定
ご自身のライフスタイルや家の状況に合わせて、最適なシステムを選び、信頼できる業者と相談しながら導入を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事で得た情報を参考に、ぜひ太陽光発電の後付けを検討し、快適で経済的な暮らしを実現してくださいね。