太陽光発電での売電収入は確定申告が必要!対象者・経費・節税について解説!

- 太陽光発電の売電収入があるけど、確定申告が必要かわからない
- 確定申告で経費にできるものが何か知りたい
- 具体的な申告のやり方やポイントを知りたい
こんな悩みにお答えします。
太陽光発電を設置して売電収入を得たものの、税金の仕組みや確定申告について不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
個人事業主の方は馴染みがあるかもしれませんが、たとえば普段は確定申告する機会が少ない会社員の方で副業収入もある場合、知らないうちに脱税に該当しているケースも少なくありません。
売電による所得は条件によっては税金の申告対象となり、手続きを怠るとペナルティが発生する可能性があります。しかし、正しく経費を計上すれば、納める税金を抑えることも可能です。
この記事では、以下の内容をお伝えします。
- 太陽光発電で知っておきたい確定申告の基礎知識
- 太陽光発電の売電収入で確定申告が必要になる2つのケース
- 【状況別】売電収入の3つの所得区分と計算方法
- 太陽光発電の確定申告で経費にできる費用一覧
- 太陽光発電での売電収入を確定申告する方法
- 太陽光発電の確定申告における2つの注意点
この記事を読めば、太陽光発電の確定申告に関する疑問が解消し、個人でスムーズに申告を終えるためのポイントがわかります。
ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
太陽光発電で知っておきたい確定申告の基礎知識
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を計算し、それに対する所得税額を国に申告・納税する手続きのことです。
太陽光発電による所得など、年間の所得額が各種所得控除額を上回る場合には、原則として確定申告の義務が生じます。
年末調整で納税が完了するサラリーマンでも、太陽光発電による売電収入が一定額を超えた際には、個人で確定申告をしなければなりません。
なお、確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。必要書類を作成し、期限内に税務署へ以下の方法で提出しなければなりません。
- 持参
- 郵送
- e-Taxを利用したオンライン申請
身につけておきたい税務知識について、さらに深掘りして解説します。
所得額は総収入金額から必要経費を引いて算出する
所得税の元になる所得額は、以下の計算式で算出します。
【計算式】
売電による総収入金額−発電に要した必要経費=所得額
この計算方法は、所得の区分が雑所得・事業所得・不動産所得のいずれであっても同じです。
たとえば、会社員が自宅の屋根に設置した太陽光パネルで年間30万円の売電収入を得て、経費が8万円かかった場合、保険料控除など所得控除できる金額が他になければ所得額は22万円となります。
会社員の場合、給与所得以外の所得合計が20万円を超えると確定申告が必要であるため、上記のケースでは20万円を超えているため確定申告の義務が発生します。
なお、自宅兼事業所の屋根にソーラーパネルを設置している場合、減価償却費などの経費は、事業用と家庭用の使用割合に応じて按分して計上する必要があるため注意しましょう。
太陽光発電に課せられる3つの税金とは?
太陽光発電を始めると、いくつかの税金が関係してきます。
主なものとして、次の3つが挙げられます。
- 設備の購入時にかかる「消費税」
- 設備の規模によって課税される可能性がある「固定資産税」
- 売電によって得た所得にかかる「所得税」
これらの税金は、それぞれ課税される条件やタイミングが異なります。
たとえば、所得税は売電による利益が出た場合に課税されますが、固定資産税は一定規模以上の設備を所有しているだけで課税対象となる可能性があります。
自身の状況によって、どの税金が関係してくるのかを正しく理解しておきましょう。
太陽光発電に関連する税金で、最も身近なものは消費税です。
①消費税
ソーラーパネルやパワーコンディショナといった設備を購入するときや、設置工事を業者に依頼するときに、その費用に対して課されます。
たとえば、設備の購入費用が200万円だった場合、10%の消費税が加わり、実際の支払額は220万円となります。
太陽光発電の導入にはまとまった初期投資が必要になるため、この消費税額も決して少なくありません。資金計画を立てるときは、設備や工事の本体価格だけでなく、消費税を含めた総額で考えましょう。
なお、事業として太陽光発電を行う場合、支払った消費税は確定申告の際に影響することがあります。
②固定資産税
固定資産税は、土地や家屋、事業用の償却資産に対して課される税金です。
太陽光発電設備も、条件によってはこの償却資産に該当し、固定資産税の課税対象となります。
そこで一つの基準となるのが、発電容量が10kWかどうかです。原則、発電容量が10kWを超えると産業用太陽光発電として固定資産税がかかります。
一方、10kW未満の住宅用太陽光発電の場合、個人が自宅の屋根などに設置しているのであれば、基本的に固定資産税は課税されません。
ただし、同じ10kW未満の設備でも、個人事業主が事業のために設置した場合や、法人が所有する場合は課税対象となります。
また、屋根と一体型のソーラーパネルは家屋の一部と見なされ、容量に関わらず固定資産税が課されることがあります。
③所得税
所得税は個人の1年間の所得に対して課される税金です。太陽光発電の売電によって得た所得もこの課税対象に含まれます。
所得税額は、売電収入から必要経費を差し引いた所得金額から、基礎控除や社会保険料控除などの各種所得控除を引いた後の課税所得金額に定められた税率を掛けて計算します。
会社員など給与所得がある人は、給与所得と太陽光発電による所得などを合算して全体の所得税額を算出します。
計算の結果、納付すべき税額がある場合は確定申告期間内に申告と納税の手続きを済ませる必要があります。正しく所得を計算し忘れずに申告・納付を行いましょう。
太陽光発電の売電収入で確定申告が必要になる2つのケース
太陽光発電による売電収入があったとしても、すべての人が確定申告をしなければならないわけではありません。
確定申告が必要かどうかは、主に『設備の発電量』や『売電による所得金額』によって決まります。
特に、会社で年末調整を受けている給与所得者の場合、「給与以外の所得が年間で20万円を超えるかどうか」が重要な判断基準です。
この基準に該当するかどうかで、確定申告の手間や納税の有無が変わってくるため、自身の状況を正確に把握しておきましょう。
ここでは、代表的な2つのケースに分けて、確定申告の要否について解説していきます。
住宅用太陽光発電(発電量が10kW未満)を設置しているケース
発電容量が10kW未満の設備は、一般的に住宅用太陽光発電と呼ばれます。
この規模の設備は、主に自宅で消費する電力をまかなうことを目的としており、余った電力を電力会社に売る「余剰売電」が中心です。
そのため、年間の売電収入から経費を差し引いた所得額は、比較的少額になる傾向があります。
会社員などの給与所得者の場合、給与以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。住宅用太陽光発電の所得がこの範囲内に収まるケースは多く、その場合は確定申告の必要はありません。
ただし、医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は、20万円以下の所得であっても合わせて申告が必要です。
産業用太陽光発電(発電量が10kW以上)を設置しているケース
発電容量が10kW以上の設備は、住宅の屋根に設置されていても産業用太陽光発電として扱われます。
産業用は住宅用よりも発電量が多く、売電収入も高額になることが一般的です。そのため、売電収入から経費を差し引いた所得が、年間20万円を超える可能性が高まります。
給与所得者であっても、給与以外の所得が20万円を超えた場合は、勤務先の年末調整とは別に、個人で確定申告を行わなければなりません。
また、個人事業主として太陽光発電事業を行っている場合は、所得の金額にかかわらず確定申告が必要です。
産業用太陽光発電を設置している場合は、確定申告が必要になるケースが多いと認識しておきましょう。
【状況別】売電収入の3つの所得区分と計算方法
太陽光発電で得た売電収入を確定申告する際には、その収入がどの所得区分に該当するかを正しく判断する必要があります。
所得税法では所得を10種類に分類しており、太陽光発電の売電収入は主に以下の3つのいずれかに該当します。
- 雑所得
- 事業所得
- 不動産所得
どの所得区分を選択するかによって、税金の計算方法や適用できる控除の種類が異なるため、非常に重要なポイントです。
ここでは、それぞれの所得区分の特徴と、どのような状況でどの区分に該当するのかを具体的に解説します。
雑所得|副業として売電収入を得ている場合
雑所得は、他の9種類の所得のいずれにも当てはまらない所得を指し、公的年金や事業性のない副業収入などもこれに分類されます。
太陽光発電においては、会社員などが自宅の屋根に10kW未満のソーラーパネルを設置し、家庭で使いきれなかった余剰電力を販売して得た収入が、多くの場合この雑所得に該当します。
事業として大規模に行っているわけではなく、あくまで副業的な位置づけで小規模な売電を行っているケースが典型例です。
繰り返しにはなりますが、会社員の場合、この雑所得の金額が年間20万円以下であれば、原則として確定申告は不要となります。
事業所得|本業として太陽光発電事業をしている場合
事業所得とは、農業や製造業、サービス業など、事業を営むことから生じる所得のことです。
太陽光発電が事業所得に該当するのは、以下のように継続的かつ安定的に相当の収益を得ているケースです。
- 発電設備が10kW以上の産業用である場合
- 複数の発電設備を所有している場合
- 土地付きの太陽光発電投資を行っている場合
事業所得として申告する最大のメリットは、税制上の優遇措置が多い「青色申告」を選択できる点にあります。
青色申告を行うことで、最大65万円の特別控除を受けられるほか、赤字(損失)を最大3年間繰り越すことが可能となり、節税効果が期待できます。
不動産所得|賃貸物件などの屋根で発電している場合
不動産所得は、アパートやマンション、駐車場の不動産の貸し付けによって得られる所得を指します。
太陽光発電においては、所有する賃貸アパートの屋上や駐車場の屋根といった場所に発電設備を設置し、そこで得た売電収入が不動産所得に該当する場合があります。
たとえば、発電した電力をアパートの共用部分の電気として使用し、余った電力を売電しているようなケースです。
ただし、賃貸経営とは無関係の土地に太陽光発電設備を設置して売電している場合は、不動産所得ではなく事業所得や雑所得として扱われるため、所得区分の判断には注意が必要です。
太陽光発電の確定申告で経費にできる費用一覧
太陽光発電の所得を計算するうえで、売電収入から差し引くことができる「必要経費」を漏れなく計上することは、節税における非常に重要なポイントです。
必要経費として認められるのは、発電事業を運営するために直接かかった費用です。
経費を正確に把握し申告することで、課税対象となる所得金額を抑え、結果的に所得税の負担を軽減できます。
ここでは、太陽光発電の確定申告において、一般的に経費として計上できる費用の種類を一覧で解説します。領収書などの証明書類は必ず保管しておきましょう。
設備購入にかかった費用は「減価償却費」
下記のような太陽光発電設備は、長期間にわたって使用する高額な資産です。
- ソーラーパネル
- パワーコンディショナー
- 蓄電池
このような資産の購入費用は、購入した年に一度に全額を経費とするのではなく、「減価償却」という会計処理を行います。
これは、資産を使用できる期間(法定耐用年数)にわたって、購入費用を分割して毎年少しずつ経費として計上していく方法です。
この毎年計上する経費のことを「減価償却費」と呼びます。
太陽光発電設備の法定耐用年数は17年と定められており、この期間にわたって費用を按分していくのが基本です。これにより、複数年にわたり安定して経費を計上できます。
設備の維持管理にかかる「メンテナンス費用」
太陽光発電設備が長期間にわたって安定した発電量を維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
この設備の維持管理にかかる費用は、事業運営に直接必要な支出として経費に計上できます。
具体的には、専門業者に依頼する下記のような費用が該当します。
- 設備全般の定期点検
- パワーコンディショナーなどの性能チェック
- ソーラーパネルの洗浄
- 雑草の除去作業
- 故障した際の修理費用
これらのメンテナンスを適切に行うことは、発電効率の低下を防ぎ、売電収入を確保するためにも欠かせません。
経費として認めてもらうために、業者から受け取った請求書や領収書は必ず保管しておきましょう。
設備設置で課される「固定資産税」
発電容量が10kW以上の産業用太陽光発電設備などを所有している場合、償却資産として固定資産税の課税対象となります。
この事業のために納付した固定資産税は、「租税公課」という勘定科目で全額を経費として計上できます。
固定資産税は毎年1回、資産が所在する市町村から納税通知書が送付されます。その年に支払った税額が、その年の経費となります。
経費として計上する際には、支払った事実を証明する証拠として、自治体から送られてくる納税通知書や、支払った際の領収書などを大切に保管しておく必要があります。
設備購入ローンの「支払利息」や「損害保険料」
太陽光発電設備の購入資金を金融機関からのローンで調達した場合、毎月の返済額のうち「利息」に相当する部分を経費として計上できます。
注意点として、経費にできるのはあくまで利息部分のみであり、元本の返済部分は資産の購入代金であるため経費にはなりません。
ローン契約時の返済予定表などで、利息の金額を確認しておきましょう。
また、台風や火災、盗難といった万が一の事態に備えて損害保険に加入している場合、その支払保険料も事業のリスク管理に必要な費用として経費計上できます。
契約内容がわかる保険証券や、保険料の支払いを証明する書類を保管しておきましょう。
パワコンの電気代など発電に必要な「その他の諸経費」
これまで挙げた費用の他にも、太陽光発電事業に関連するさまざまな支出が経費として認められる可能性があります。
たとえば、発電状況を監視するための遠隔監視システムの通信費や、パワーコンディショナが待機中に消費するわずかな電気代などが考えられます。
また、確定申告の手続きを税理士に依頼した場合は、その報酬も経費にできます。
ただし、これらの費用が事業運営に直接関連していることを客観的に説明できなければなりません。
特に自宅のインターネット回線などを共用している場合は、事業で使用した割合を合理的な基準で按分(家事按分)して、事業用の部分のみを経費として計上する必要があります。
太陽光発電での売電収入を確定申告する方法
太陽光発電の売電収入によって確定申告が必要になった場合、実際にどのような手順で進めればよいのでしょうか。
ややこしそうに感じるかもしれませんが、実際には必要な手順で、必要な書類を提出するだけです。
ここでは、確定申告の基本的な流れと必要書類について具体的に解説します。
それぞれくわしく見ていきましょう。
確認申告の基本的な流れ
確定申告は、以下の4つのステップで進めるのが一般的です。
- ステップ①|必要書類の準備
- ステップ②|確定申告書の作成
- ステップ③|税務署への提出
- ステップ④|所得税の納付
具体的には、以下のとおりです。
【ステップ①|必要書類の準備】
1年間の売電収入がわかる書類(電力会社からの通知など)、経費の領収書やレシート、各種控除証明書などを集めます。給与所得がある方は、勤務先から交付される源泉徴収票も必要です。
【ステップ②|確定申告書の作成】
集めた書類をもとに、収入と経費を会計ソフトなどに入力し、所得金額を算出します。事業所得として申告する場合は、青色申告決算書または収支内訳書を作成します。
【ステップ③|税務署への提出】
国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを利用して、確定申告書を作成します。画面の案内に沿って入力すれば、税額が自動で計算されるため便利です。
【ステップ④|所得税の納付】
作成した申告書を、原則翌年2月16日から3月15日の期間内に税務署へ提出します。提出方法は、e-Tax、郵送、税務署窓口への持参から選べます。納付すべき税額がある場合は、期限内に納税を済ませます。
近年では、e-Taxを利用した電子申告も普及しており、自宅から手続きを完了させられます。
では、どのような書類が必要なのかについて、以下で解説していきます。
確定申告で必要になる書類
太陽光発電の確定申告で必要になる主な書類は以下の通りです。申告内容によって必要なものが異なるため、自分の状況に合わせて準備しましょう。
【確定申告書】
税務署や国税庁のウェブサイトで入手できます。
【本人確認書類】
マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カードと運転免許証などの身元確認書類の組み合わせ。
【収入を証明する書類】
電力会社から送られてくる「購入電力量のお知らせ」など売電収入額がわかるもの。給与所得者は「源泉徴収票」。
【経費を証明する書類】
設備購入の契約書、メンテナンス費用の領収書、ローンの返済予定表、固定資産税の納税通知書など。
【各種控除を証明する書類】
生命保険料控除証明書、医療費の領収書、寄付金の受領証など。
【還付金の振込先口座がわかるもの】
申告者本人名義の預金通帳など。
特に、売電収入や経費を証明する書類を漏れなく集めることと、それらの情報を基に申告書を正しく作成することが重要なポイントです。
これらの書類は、申告書を作成する際の根拠となり、税務署から提出を求められる場合もあるため、大切に保管しておきましょう。
太陽光発電の確定申告における2つの注意点
太陽光発電の確定申告を正しく行うためには、所得区分の判断や収入に含めるべき項目など、間違いやすいポイントについて理解しておきましょう。
なぜなら、もし誤った内容で申告してしまったり、申告義務があるにもかかわらず手続きを怠ったりすると、後日税務署から指摘を受け、ペナルティとして追加の税金を課される可能性があるからです。
そうした事態を避けるためにも、あらかじめ注意すべき点を把握し、慎重に申告準備を進めることが大切です。
ここでは、特に注意が必要な2つのポイントと、申告漏れがあった場合のリスクについて解説します。
全量売電の場合は「事業所得」または「雑所得」に該当する
発電した電力のすべてを電力会社に売る「全量売電」は、主に10kW以上の規模が大きい太陽光発電設備で行われます。
この全量売電によって得た収入は、確定申告の際、原則として「事業所得」または「雑所得」のいずれかに該当します。賃貸物件の屋根に設置しているなど、不動産経営に付随する場合を除き、「不動産所得」にはならない点に注意しましょう。
事業所得に該当するか、雑所得に該当するかの判断は、以下のような要素を総合的に見て行われます。
- 設備の規模
- 管理の状況
- 収益の程度
一般的に、継続的に相当な規模で利益を上げている場合は事業所得とみなされ、青色申告による節税メリットを受けられる可能性があります。
国や自治体からの補助金は経費計上できない
国や自治体から太陽光発電設備に対して補助金が支給された場合、その補助金は売電収入の確定申告において、設備の購入費用として経費に計上することはできません。
なぜなら、経費として認められるのは、設備の取得費用から補助金でカバーされた金額を除いた、自己負担した部分に限られるからです。
たとえば、100万円の設備購入費に対して100万円の補助金が交付された場合、自己負担額はないため、経費計上はできません。
これは、補助金が事業の収益を直接生み出すものではなく、初期費用を軽減する目的で支給されるためです。
補助金の扱いに注意し、正確な経費計算を行いましょう。
申告漏れや期限を過ぎた場合はペナルティの対象になる
確定申告の義務があるにもかかわらず申告をしなかった場合(無申告)や、定められた申告期限を過ぎてしまった場合(期限後申告)には、ペナルティが課せられます。
主なペナルティには、本来納めるべき税額に加えて課される「無申告加算税」や、納税が遅れた日数に応じて利息のように課される「延滞税」があります。
これらの追徴課税は、本来支払う必要のなかったお金であり、経済的な負担が増えてしまいます。
「知らなかった」「忘れた」では済まされないため、自分が申告対象者かどうかを事前にしっかり確認し、期限内に正しく手続きを完了させることが非常に重要です。
無申告加算税
無申告加算税は、正当な理由なく法定申告期限内に確定申告を行わなかった場合に課されるペナルティです。
この税金の額は、本来納付すべきであった税額を基に計算されます。
原則として、納付すべき税額のうち50万円までの部分には10%、50万円を超える部分には15%、300万円を超える部分には25%の税率が適用されます。
ただし、税務署の調査を受ける前に、自主的に期限後申告を行った場合には、この税率が5%に軽減されます。申告を忘れていたことに気づいたら、できるだけ早く自主的に申告することが重要です。
無申告の状態を放置すると、本来の税金に加えて大きな加算税を支払うことになり、利益が大きく損なわれる可能性があります。
延滞税
延滞税は、法律で定められた納付期限までに税金を納めなかった場合に、その遅れた日数に応じて自動的に課される税金です。
これは納税が遅れたことに対する利息のようなもので、無申告だった場合には、無申告加算税と合わせて課されることになります。
延滞税の税率は、納付期限の翌日から完納する日までの期間に応じて計算され、以下のように納期限の翌日から2ヶ月を経過するかどうかで税率が変わる仕組みになっています。
- 納付期限の翌日から2ヶ月までは年7.3%
- 納期限から2ヶ月が経過してからは年14.6%
税率は年によって変動しますが、納税が遅れれば遅れるほど、支払う延滞税の金額は増えていきます。
確定申告が必要な場合は、申告手続きだけでなく、期限内(原則3月15日まで)に納税まで完了させることが大切です。
まとめ
今回は、太陽光発電の売電収入に関する確定申告について、対象者から経費の計算方法、具体的なやり方まで解説しました。
この記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 給与所得者でも、太陽光発電の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要
- 所得は「売電収入-必要経費」で計算し、経費を漏れなく計上することが節税の鍵
- 所得区分は「雑所得」「事業所得」「不動産所得」の3つがあり、状況に応じて正しく選択する
- 申告を忘れると「無申告加算税」や「延滞税」といったペナルティが課される
太陽光発電の確定申告は、初めての方には難しく感じるかもしれませんが、仕組みを理解すれば個人でも十分に対応できます。
近年は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトが充実しており、スマホでの入力方法もわかりやすくなっています。e-Taxを利用すれば、自宅から申告を完了させることもできます。
もし、書類の書き方や判断に迷うことがあれば、税務署の相談窓口や税理士などの専門家に相談することも一つの方法です。
この記事を参考に、ご自身の状況を確認し、必要な場合は期限を守って正しく確定申告を行いましょう。



