卒FITとは?売電価格の現実と2026年の選択肢を解説|蓄電池は必要?

「もうすぐ太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)の期間が終わる」「卒FIT後は売電単価が大きく下がると聞いて不安」「このまま売電を続けるべきか、それとも蓄電池を入れるべきか分からない」——そんなお悩みをお持ちではありませんか?

結論からお伝えすると、何もしないのが一番もったいない選択です。東京電力の標準プランで売ると8.5円/kWhですが、同じ電気を自宅で使えば、36.45円/kWh(従量電灯Bの第2段階)の電気を買わずに済みます。その差は約4.3倍です。蓄電池が得になるかは、補助金と電気の使い方で大きく変わります。たとえば東京都なら、10kWhの蓄電池に100万円の助成が出る場合があります。

とはいえ、「売電単価は実際いくらになるの?」「蓄電池を入れて本当に元が取れるの?」という点が気になりますよね。この記事では、以下の内容を、2026年の最新情報をもとにくわしく解説します。

  • そもそも「卒FIT」とは何か、10年で何が変わるのか
  • 卒FIT後の売電単価の”現実”と、なぜここまで下がるのか
  • 卒FIT後にとれる3つの選択肢とメリット・デメリット
  • 売るより自家消費が有利な理由(売電と買電の単価比較)
  • 蓄電池導入で失敗しないためのポイント

読み終わるころには、ご自宅の太陽光発電を「卒FIT後にどう活かせば一番得なのか」がはっきり分かるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

目次

そもそも「卒FIT」とは?10年で何が変わるのか

まずは「卒FIT」という言葉の意味と、卒FITを迎えると何が変わるのかを整理しておきましょう。

FIT(固定価格買取制度)の仕組み

FITとは、太陽光発電などでつくった電気を、国が定めた固定価格で一定期間、電力会社に買い取ってもらえる制度です。住宅用の太陽光発電(出力10kW未満)の場合、買取期間は10年間と定められています。

この10年間は、設置した年度の単価が固定で適用されます。たとえば2015年度に設置した方は33円/kWh前後、2016年度なら31円/kWh前後と、当時は比較的高い単価で売電できていました。だからこそ「売電収入で設備費を回収する」というモデルが成り立っていたのです。

「卒FIT」とは買取期間が満了した状態のこと

卒FITとは、この10年間の固定買取期間が満了し、FIT制度から「卒業」した状態を指します。住宅用太陽光の最初の卒FIT世代が登場したのは2019年11月(いわゆる「2019年問題」)で、それ以降、毎年多くのご家庭が順次卒FITを迎えています。

卒FITを迎えても、太陽光パネル自体が使えなくなるわけではありません。発電はこれまでどおり続きます。変わるのは「余った電気を売るときの単価」です。固定された高い単価がなくなり、各電力会社が独自に設定する単価での買取に切り替わります。

自宅がいつ卒FITになるかの確認方法

ご自宅の卒FIT時期は、太陽光発電の「連系(系統連系)を開始した年月」から10年後が目安です。電力会社から届いた「電力受給契約のお知らせ」や、毎月の購入明細、設置業者の契約書類などで確認できます。多くの電力会社は、卒FITが近づくと事前に案内を送付してくれます。

「いつ設置したか分からない」「書類が見つからない」という場合は、お早めに電力会社や設置業者に確認しておくと安心です。卒FIT後に何も手続きをしないと、自動的に各社の標準的な(多くは割安な)単価で買い取られる状態になってしまうためです。

▶ あわせて読みたい:太陽光発電の10年後の出口戦略とは?売電終了後にすべきこと

卒FIT後の売電単価の”現実”|なぜここまで下がるのか

もっとも気になるのが「卒FIT後、売電単価はいくらになるのか」という点でしょう。ここでは東京電力エリア(神奈川県を含む)の単価を見ていきます。

大手電力会社の買取単価は8.5円前後まで下がる

卒FIT後、契約をそのままにしておくと、大手電力会社(東京電力エナジーパートナーなど)の標準的な買取単価が適用されます。東京電力エリアの場合、その単価は8.5円/kWhです。

FIT期間中が31〜33円/kWhだったことを考えると、およそ4分の1の水準まで下がる計算です。「売電収入が急に減って驚いた」という声が多いのは、この大きな下落幅が理由です。

新電力に乗り換えれば11〜14円台のプランもある

一方で、売電先を新電力などの買取サービスに切り替えると、大手より高い単価で買い取ってもらえる場合があります。東京電力エリアでは、おおむね次のような水準です。

買取サービス(例)買取単価の目安
大手電力(東京電力エナジーパートナー)約8.5円/kWh
東急パワーサプライ約11.1円/kWh
idemitsuでんき約11.5円/kWh
エネクスライフサービス約12.5円/kWh
スマートテック(スマートFIT)約14.6円/kWh
※東京電力エリアの一例(複数の比較サイトで確認。基本単価の例)。単価・条件は時期やキャンペーンにより変動します。最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。

このように、新電力に乗り換えれば大手より2〜6円ほど高くなることもあります。ただし、多くのプランは「自宅で使う電気(買電)の契約もセットにする」など条件付きです。買電側の料金が割高になると、トータルで損をするケースもあるため、売電単価だけでなく買電料金も含めて比較することが大切です。

なぜ卒FIT後の単価はこんなに安いのか

卒FIT後の単価が安いのは、FITのような国の補助(賦課金による上乗せ)がなくなり、電力会社が市場価格に近い水準でしか買い取らなくなるためです。卒FIT後の電気は「市場で取引される卸電力の価格」がベースになるため、どうしても10円前後の水準に落ち着きます。

つまり、卒FIT後は「高く売る」こと自体が難しくなります。だからこそ、発想を「売る」から「自分で使って電気代を浮かせる」へ切り替えることが、家計を守るカギになるのです。

卒FIT後にとれる3つの選択肢

卒FITを迎えたあと、主な選択肢は次の3つです。それぞれのメリット・デメリットを整理しました。

卒FIT後の3つの選択肢の比較

選択肢①:そのまま大手電力で売電を続ける

もっとも手間がかからないのが、特に何もせず大手電力での売電を続ける方法です。手続き不要で、これまでどおり余った電気を自動的に買い取ってもらえます。

ただし単価は8.5円/kWhと低く、売電収入は最小限になります。「とにかく手間をかけたくない」という方向けですが、経済的なメリットは小さい選択肢です。

選択肢②:売電先を新電力に乗り換える

売電先を、より高く買い取ってくれる新電力に切り替える方法です。前述のとおり11〜14円台のプランもあり、大手のまま売電するより収入アップが見込めます。

一方で、買電契約とのセット条件や、キャンペーン単価の終了後に下がるリスクもあります。それでも売電単価そのものは買電単価(30円以上)に遠く及ばないため、「売電を続ける」という枠組みの中での改善にとどまる点は理解しておきましょう。

選択肢③:蓄電池を導入して自家消費に切り替える

そして、売電より価値の高い自家消費を大きく増やせるのが「蓄電池の導入」です。日中に発電した電気を蓄電池に貯めておき、夜間や朝夕など発電できない時間帯に使うことで、電力会社から買う電気(買電)を減らせます。

「8.5円で売る電気」を「36.45円で買う電気の代わりに使う」ことで、1kWhあたり約28円分の差が生まれます。さらに、停電したときも電気を使えます。次の章で、実際の金額を試算します。

売るより自家消費が有利な理由|売電8.5円 vs 買電36.45円

卒FIT後に自家消費が有利になる理由は、たった一つ。「売る単価」より「買う単価」のほうがはるかに高いからです。

卒FIT後の売る単価と買う単価の比較グラフ

売る単価と買う単価の差が”そのまま得”になる

東京電力の従量電灯Bの場合、買う電気の単価は、月120kWhをこえて300kWhまでが36.45円/kWh、300kWhをこえると40.54円/kWhです(2026年11月1日以降。燃料費調整額や再エネ賦課金は別)。一方、卒FIT後に売る電気は8.5円/kWhです。

つまり、同じ1kWhの電気でも「売れば8.5円」「自分で使えば36.45〜40.54円分の節約」と、約4.3〜4.8倍の差が生まれます。

蓄電池を入れるとどれくらい差が出るのか(試算)

たとえば、10kWhの蓄電池で、余った電気のうち年間2,000kWhを夜に使えたとします(1日約9kWhを年220日使う計算)。

  • 売電した場合:2,000kWh × 8.5円 = 約1.7万円/年
  • 自宅で使った場合:2,000kWh × 36.45〜40.54円 = 約7.3万〜8.1万円/年(買う電気を減らせる効果)

差額は年間約5.6万〜6.4万円、15年なら約84万〜96万円です。これに対して、10kWhの蓄電池の費用は補助金で大きく変わります。

地域・補助金の例補助額(10kWh)実質の費用の目安
補助金なしなし約133万〜242万円
東京都(蓄電池導入促進事業)100万円(10万円/kWh)約33万〜142万円
横浜市(YGrEP、12月25日まで・設置前に申請)12万円分約121万〜230万円
松戸市(2027年2月26日まで)上限7万円約126万〜235万円

国の資料の価格水準をもとにした目安で、機種や工事内容で変わります。補助金がない場合は、電気代の差だけで費用を上回るのは難しくなりますが、補助金が使えれば話は変わります。また、停電のときに電気を使える安心は、金額だけでは測れません。補助金は受付期間と条件があるので、お早めにご確認ください。

ご自宅の場合を知りたい方へ:電気代シミュレーターで目安を確認できます。補助金と容量まで含めた試算は、無料相談でお伝えします。

▶ 関連記事:【全12パターン】太陽光+蓄電池の家庭別シミュレーションを徹底解説!

電気代高騰が自家消費の追い風になっている

買う電気が高くなるほど、自家消費で「買わずに済ませる電気」の価値も大きくなります。

なお、2025年10月以降に新たに太陽光を設置する場合のFIT(初期投資支援スキーム)では、最初の4年が24円/kWh、5〜10年目は8.3円/kWhという2段階単価になりました。後半の8.3円は卸電力市場に連動した水準で、これも「後半は売るより自家消費が有利」という流れを裏づけています。これから設置する方も、卒FIT世代と同じく「自家消費前提」で考える時代になっているのです。

蓄電池導入で失敗しないための3つのポイント

「自家消費が得なのは分かったけれど、蓄電池は高い買い物。失敗したくない」という方のために、後悔しないためのポイントを3つご紹介します。

①容量は「夜間に使う電気量」を基準に選ぶ

蓄電池は容量(kWh)が大きいほど高価になります。大きすぎると使い切れず、小さすぎると貯めた電気がすぐ尽きてしまいます。ポイントは「日没後〜翌朝に使う電気量」に合わせること。一般的なご家庭では5〜10kWh前後が目安ですが、オール電化やEV充電の有無で最適な容量は変わります。

▶ あわせて読みたい:蓄電池の容量(kWh)はどう選ぶ?家族人数・電気使用量別の選び方

▶ 関連記事:蓄電池で電気代が上がった要因とは?4つの原因と5つの対策をプロが解説!

②補助金を活用して初期費用を抑える

蓄電池は、国や自治体の補助金を活用することで初期費用を大きく抑えられます。神奈川県や各市町村でも、年度ごとに蓄電池向けの補助制度が用意されることがあります。補助金は予算上限に達すると早期終了することも多いため、導入を考えるなら早めの情報収集がおすすめです。

▶ 関連記事:【2026年度】神奈川県の太陽光発電・蓄電池の補助金まとめ

③信頼できる地域の設置業者を選ぶ

蓄電池は設置後も長く使う設備です。だからこそ、設置後のメンテナンスや保証まで対応してくれる、地域に根ざした業者を選ぶことが大切です。複数社から見積もりを取り、容量の提案根拠や保証内容、アフター対応をしっかり比較しましょう。「元が取れるのか不安」という方は、次の関連記事も参考になります。

▶ 関連記事:太陽光・蓄電池は元が取れない?経済効果と後悔しないための対策を解説!

卒FITはパワコンの点検時期でもあります

パワコンの寿命は10〜15年が目安で、多くのメーカーの保証は10年です。つまり、卒FITを迎えるころは、パワコンの保証が切れ、不具合が出始める時期と重なります。パネルに問題がなければ、パワコンだけの交換で太陽光を使い続けられます。

蓄電池も検討しているなら、交換の前に相談してください。太陽光と蓄電池を1台で扱うハイブリッド型のパワコンを選べば、交換と蓄電池の導入を同じ工事で行えます。

▶ あわせて読みたい:パワコン交換の費用相場は30万〜40万円|寿命・時期・補助金を解説

卒FITに関するよくある質問

Q. 卒FIT後、何も手続きしないとどうなりますか?

A. 多くの場合、自動的に大手電力会社の標準的な買取単価(東京電力エリアで8.5円/kWh)が適用されます。発電・売電自体は止まりませんが、単価が低いままになるため、売電先の見直しや自家消費への切り替えを検討する価値があります。

Q. 卒FIT後に蓄電池を入れると売電はできなくなりますか?

A. いいえ。蓄電池を入れても、使い切れずに余った電気は引き続き売電できます。蓄電池は「まず自家消費に回し、それでも余ったら売る」という運用になるため、売電と自家消費の”いいとこ取り”が可能です。くわしくは蓄電池で売電はできる?太陽光発電と併用する3つのメリット・注意点をご覧ください。

Q. 卒FIT後でも太陽光パネルはそのまま使えますか?

A. はい。FIT期間が終わってもパネルや発電は問題なく使えます。一般的に太陽光パネルの寿命は20〜30年とされており、卒FIT(設置10年)はまだ折り返し地点です。むしろここからは「自家消費でしっかり活かす」フェーズと考えるのがおすすめです。

▶ あわせて読みたい:太陽光パネルは何年もつ?寿命・劣化・長持ちのコツ

Q. 蓄電池の寿命はどれくらいですか?

A. 製品によりますが、家庭用蓄電池の寿命はおおむね10〜15年(サイクル回数で表されることが多い)です。保証期間(10年または15年)が設定されている製品が多いため、購入時は保証内容も必ず確認しましょう。

まとめ|卒FIT後は「売る」から「貯めて使う」へ

本記事の内容をまとめると、以下のとおりです。

  • 住宅用太陽光のFIT買取期間は10年。満了すると「卒FIT」となり、売電単価が大きく下がる
  • 卒FIT後の売電単価は、東京電力の標準プランで8.5円/kWh。新電力に乗り換えると11〜14円台のプランもある
  • 一方、買う電気は東京電力の従量電灯Bで36.45〜40.54円/kWh。自分で使えば、売るより約4.3〜4.8倍の価値になる
  • 10kWhの蓄電池で年間2,000kWhを自家消費に回すと、差額は年間約5.6万〜6.4万円。東京都なら100万円の助成が出る場合があるなど、補助金で結果は大きく変わる
  • 蓄電池は「容量選び・補助金・信頼できる業者選び」の3点が成功のカギ

卒FITは、ご自宅の太陽光の使い方を見直すよい機会です。何もしなければ8.5円で売り続けることになります。売電先の見直し、パワコンの点検、蓄電池の導入のどれが合うかは、ご家庭ごとに違います。

「自分の家だと蓄電池で元が取れる?」「どの容量が最適?」「使える補助金は?」——そんな疑問は、ご自宅の発電量と電気の使い方で試算すると、はっきりします。エコナビ本舗では、卒FIT後の活用方法や蓄電池選びについて、無料でご相談を承っています。神奈川県は平塚本店、東京都は八王子支店、千葉県は柏支店へお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

太陽光発電の普及を通じて、クリーンで持続可能なエネルギー社会の実現に貢献したいと考えています。
革新技術に挑戦し、環境保護とエネルギー効率向上を目指します。

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